サムスン電子がけん引するフォルダブルフォン(折りたたみ式スマートフォン)市場を巡る競争が激化している。中国メーカーのVivoが最近、サムスンの「ギャラクシーZフリップ」とよく似た形と色のスマートフォンを発売したのに続き、米国のビッグテック企業であるグーグルも6月に初のフォルダブルフォンの発売を予告した。フォルダブルフォン市場の拡大を望むサムスン電子は、むしろライバル企業の「挑発」を歓迎する雰囲気だ。
23日、業界の説明を総合すれば、Vivoが20日に発売したクラムシェル模様の「Vivo X Flip」のコンセプトと色がギャラクシーZフリップときわめて似ているとの評価が出ている。Vivo X Flipが、代表カラーとして掲げた紫色の携帯電話は、サムスン電子が昨年BTSとコラボして披露した「ボラパープルフリップ」に似ており、携帯電話を固定しての撮影が可能な「フレックスモード」も事実上同じだ。外部画面に3インチの有機液晶ディスプレイを搭載した点と、カメラレンズを分離して弧状にデザインした点を除けば、ギャラクシーZフリップとほぼ同じ外観を備えている。Vivo X Flipの価格は約6千元(約11万4千円)で、ギャラクシーZフリップ4より約1万円ほど安い。
業界では「中国という強固な内需市場があるからこそ可能な戦略」とみられている。匿名を要請したスマートフォン業界関係者は、「VivoやOppoがブランド影響力が低い状態でも各々10%ずつの市場シェアを維持できる秘訣は、強固な中国内需市場のおかげ」だとし「中国メーカーの立場では人気スマートフォンのコンセプトを早く借用して発売することが有利だ」と話した。市場調査会社のカウンターポイント・リサーチの調査の結果、昨年の全世界のスマートフォン出荷量12億台のうち2億8600万台が中国内需物量で、比重でみれば23.8%に達した。
実際、フォルダブルフォン市場は、ブルーオーシャン領域に挙げられている。カウンターポイントの調査の結果、今年の全世界のフォルダブルフォン出荷量は2270万台で、昨年より50%以上増加する見通しだ。これに比べ、一般スマートフォンの出荷量は前年より10%ほど減少した12億4千万台にとどまるとみられる。
グローバルビッグテック企業も競ってフォルダブルフォンの発売を予告している。米国の「CNBC」など主な外信は、グーグルが6月に最初のフォルダブルフォン「ピクセルフォルド」を1700ドルで発売する予定だと報道した。外部画面5.8インチに内部画面7.6インチのディスプレイを採用し、縦に折れるタイプで、ギャラクシーZフォルドと直接競争を繰り広げるものと分析される。アップルもフォルダブル関連特許を取得したことを契機に、来年度フォルダブル機器の発売が予想されている。
サムスン電子はフォルダブルフォン競争をむしろ歓迎する雰囲気だ。スマートフォン市場でサムスン電子の立地が大きくなるためには、ライバル企業の増加で現在2%水準に留まっているフォルダブルフォンの比重がさらに大きくなる必要があるとみているわけだ。Vivoをはじめとするメーカーが技術力の問題で、サムスンディスプレイで作った折りたためる液晶を使わなければならない点ももう一つの理由だ。サムスン電子モバイル経験(MX)事業部のチェ・ウォンジュン副社長は2月、世界モバイル展示会(MWC)で「フォルダブルフォンの独特な消費者経験をする人が増えるのは良い現象」だとし、「グローバルブランドが死活をかけて飛び込んでいるので独歩的な技術力を維持できるよう開発に集中する」と述べた。
一方、サムスン電子は今年下半期にギャラクシーZフリップ5、フォルド5の発売を控えている。フリップは外部ディスプレイが3.4インチにさらに大きくなり、フォルドは折りたたんだ画面の間に隙間が生じない水玉模様のヒンジの適用が予想される。