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現代重工業蔚山造船所の全景=現代重工業提供//ハンギョレ新聞社

　22日、現代重工業の蔚山（ウルサン）造船所。造船所全体を一望できる展望台に上って見回すと、大型の船舶とこれから船の形に整えられる重そうなブロックが、ソウル汝矣島（ヨイド）の面積の3倍に相当する造船所の敷地をぎっしりと埋めていた。韓国1位の造船会社である現代重工業の蔚山造船所は、2015年以降、外部に公開されていなかった。数年間続いた不況で空きスペースが多い造船所は見せられないという理由からだった。続くコロナ禍の余波で、造船所はますます固く閉ざされた。だが最近になって新型コロナの防疫措置が緩和され、造船業が好況を迎えたことから、現代重工業はこの日8年ぶりにメディアに造船所の内部を公開した。

　バスに乗って造船所に入ると、様々な形の巨大な船舶ブロックが現れた。船舶はレゴブロックのように小さなブロックを先に作り、そのブロックを一つずつくっ付けて船の形を作っていく。続いて現れた「ドック」の中では、大型船舶が造られつつあった。ドックは造船所の敷地より低くして水を入れられるようにした作業空間だ。最終段階のブロックをゴライアスクレーンでドックに運び込み、船舶の形を完成させる。船体が完成すると、水門を開いて水を満たしドックから取り出す。案内を担当した現代重工業のイ・ヨンドク常務は「現在の受注残高は155隻で、造船所では合計47隻が建造されている。このうち24隻は船舶の形に整えられていて、残りはまだブロックの段階」だと説明した。

現代重工業蔚山造船所の岸壁に着けて艤装作業が進められている船舶=現代重工業提供//ハンギョレ新聞社

　同社の総受注残高の34.2％に相当する53隻が液化天然ガス（LNG）運搬船だ。ロシア・ウクライナ戦争によって、欧州で天然ガス供給問題が生じてLNG運搬船の需要が急増し、韓国の造船所に受注が集まった。船舶建造の価格も連日、最高額を更新している。かつて欧州連合（EU）が現代重工業と大宇造船海洋の合併に反対し、「LNG運搬船の市場の独占が懸念される」と明言したほど、韓国のLNG運搬船の建造技術は圧倒的だ。

　同社が造っているLNG運搬船に乗船するため、造船所の「岸壁」に向かった。岸壁は造船所内部の埠頭で、船舶内部の電気・通信設備の設置、船室の内部空間の配置などの仕上げ作業に当たる「艤装作業」が行われる場所だ。ドックで完成した船体を進水させた後、岸壁に着けてロープで固定し、艤装作業を進める。現代重工業の岸壁の長さは合計7.6キロメートルにのぼる。現代重工業の関係者は「艤装作業が可能なすべての岸壁に船舶が着けられている。艤装作業が終わって船主に引き渡したらすぐに次の船舶を着けて作業を進めている」と述べた。

22日、メディアに公開された超大型液化天然ガス運搬船=現代重工業提供//ハンギョレ新聞社

　乗船するLNG運搬船は、近くからは一目で船舶全体が視界に入りきらないほど巨大だった。船舶の長さ・幅・高さは、それぞれ300メートル、46.4メートル、35.5メートル。高さは14階のマンションと同じだ。17万4000立方メートル級で、韓国の1日の消費量に相当するLNGを一度に輸送できる。17万4000立方メートル級は、縦横高さがそれぞれ1メートルである1立方メートルの立方体17万4000個の体積に相当するLNGを運搬可能という意味だ。

　エレベーターに乗って船舶に上がり見下ろすと、岸壁に駐車しておいた自動車がおもちゃのように小さく見えた。この船舶の建造責任者であるイ・マンス責任マネジャーは「ディーゼルとLNGを交互に使用して温室効果ガスの排出量を減らす3万馬力の二重燃料エンジン2個が搭載された超大型LNG運搬船で、6月に船主に引き渡す予定」だと説明した。

　イ氏は、燃料の効率をこの船舶の最大の強みとして挙げた。「船舶の燃料費は通常、1日当たり1億ウォン（約1千万円）にのぼる。この船舶は現代重工業の高度な技術が適用されており、他の船舶に比べ燃料の使用量を10～15％節減できる」と強調した。さらに、「現代重工業は、だんだん厳しくなっていくエコ関連の国際規範に歩調を合わせ、必要な技術を適切に開発してきた。それこそが、中国の造船所がまだ我々に追いつけない理由だ」と語った。