テスラは、電気自動車の性能を誇張して宣伝していた疑いで課徴金28億5000万ウォンを支払うことになった。同社が注文を取り消した消費者から10万ウォンの違約金を徴収していたことも電子商取引法違反であることが明らかになり、過料100万ウォンが科された。
公正取引委員会は3日、テスラコリアとテスラインコーポレイテッド(米国本社)に対して、虚偽、誇張、欺瞞宣伝を行ったことが表示広告法違反に当たり、注文取り消しを難しくしたことが電子商取引法違反に当たるとして、是正を命ずると共に課徴金28億5200万ウォン(約2億9200万円)と過料100万ウォン(約10万2000円)を科したことを明らかにした。テスラは2019年8月から最近まで、韓国語ウェブサイトで自社の電気自動車の走行可能距離、スーパーチャージャー(テスラ専用の超急速充電器)の充電性能、今後5年間に予想される燃料費削減額などを偽って宣伝していた疑いが持たれている。
テスラは「1回の充電で528キロ以上の走行が可能」と宣伝していたが、この距離は常温で都心と高速道路における最大走行距離を測定し、それに加重値をかけて算出した値であることが明らかになった。他のほとんどの走行条件では、走行距離は宣伝より短かった。特に低温で都心を走行したケースでは、1回の充電走行距離は220.7キロで半分以下に低下し、偽り・誇張があると判断された。
テスラはスーパーチャージャーによって30分(または15分)以内に充電可能な最大容量も宣伝していたが、これにも虚偽、誇張、欺瞞があった。テスラ専用の超急速充電器であるスーパーチャージャーはV2とV3の2種類があるが、充電速度はV3の方がV2より2倍ほど速い。宣伝が始まった時点では、国内に設置されていたのはV2のみだったにもかかわらず、テスラはV3で最適な条件で実験した充電性能を宣伝していた。
またテスラは、自社の電気自動車を利用した場合に節減できる燃料費も宣伝していたが、公取委はその欺瞞性も認めた。テスラは燃料費節減効果を測定する際、全国平均の充電料金をキロワット時(kWh)当たり135.53ウォンと仮定したが、実際には国内上位10社の充電事業者のキロワット時当たり平均充電料金(2020年7月~2021年6月)は緩速191.7ウォン、急速255.3ウォンで、それよりはるかに高かった。さらに、政府の電気自動車に対する充電料金の一時的な特例割引は2020年6月から段階的に縮小され、2022年7月からは完全に廃止されており、充電費用は最初の宣伝時点に比べ約2倍に上昇している。
テスラが注文を取り消した消費者に10万ウォンの違約金を支払わせていたことについても、公取委は正当な注文取り消し(請約撤回)権の行使を妨害したと判断した。テスラは2020年1月から2021年1月まで、オンラインモールで車を購入する際、注文手数料10万ウォンを決済させ、注文取り消し時にはそれを返していなかった。この方法によって1年間で9520万ウォン(約973万円)規模の手数料を受け取っていた。さらに公取委は、オンラインでの注文取り消しを不可能にしておくなど、注文を取り消そうとする消費者にわずらわしい手続き踏ませていたこと、商品購入の各段階を示す画面で注文取り消し関連情報を提供していなかったことも、電子商取引法違反に当たるとした。