韓国の金融システムの短期的な脆弱性を示す金融不安指数が「危機段階」に入った。今年に入って金利上昇とウォン安が進んだうえ、江原道のレゴランド事態まで重なり、状況が急激に悪化したのだ。それだけ金融システムが外部の衝撃に弱くなったという意味で、来年も金融引き締めと景気減速が続く見通しがある点を考えると、懸念すべき状況だ。韓国銀行は来年の主なリスク要因として不動産市場のハードランディングの可能性を挙げている。
22日、韓銀が発表した下半期の金融安定報告書によると、金融不安指数(FSI)は5月の13.1から10月は23.6に上昇し、危機段階に入った。金融不安指数は20の金融・実体部門の月別指標に基づき、金融システムの短期的な不安状況を数値化したもので、22を超えると危機段階とみなされる。23.6は新型コロナウイルス感染症の初期(24.7)以来の最高値だ。韓国政府と韓銀の市場安定化措置が実施された先月は、23.0と小幅に下落した。
金融不安が急速に深刻化した背景には、1ドルあたり1400ウォン(約144円)を突破したウォン安と江原道のレゴランド事態がある。米国の相次ぐ「ジャイアントステップ」(政策金利0.75ポイント引き上げ)の影響で、9月には1ドル1400ウォン台までウォン安が進んだ。急激なドル高により金融機関の流動性が打撃を受け、市場にも影響が及んだと、韓銀は説明した。同月末にはレゴランド事態で債権市場と短期金融市場で投資心理が凍りつき、流動性が急速に低下した。
最近、為替レートと債券市場は多少安定を取り戻しているが、来年の不動産市場がハードランディングした場合、金融不安は一層悪化しかねないとみられている。韓銀は基本的に金融機関の資本余力は十分ではあるが、不動産価格が過度に早く下がれば、家計負債が不良化し、一部金融機関の健全性が打撃を受けて、危機に広がる可能性もあるとみている。特に、国内金融システムで住宅金融が占める割合が大きいだけに、その余波は小さくないものと推定される。
ただし、韓銀は中長期的な側面では脆弱性が改善されていると指摘した。低金利時期には家計負債の急激な増加と資産価格の急騰で脆弱性が高まったが、今回は住宅価格のバブルがはじけ、外部の衝撃に対する敏感度が下がるという反対効果があったわけだ。実際、資産価格や借金の水準、金融システムの復元力などを中長期的な側面から調べた金融脆弱性指数(FVI)は、昨年第2四半期に58.5でピークに達した後、今年第3四半期には44.9へと下がった。
韓国銀行のイ・ジョンリョル副総裁補は「今回の基準金利引き上げで金融不均衡が解消される効果を確実に収めた」とし、「資産価格の急激な(下方)調整は新しい不安要因だが、政府が努力しているため不動産市場が漸進的に安定化すると期待する」と述べた。