米国の対中国、欧州の対ロシアなど、最近の多くの経済制裁は第3国も制裁対象になっており、対象国が制裁を一部迂回する余地も増えているとする韓国銀行の分析が公開された。ロシアがBRICs(中国・インド・ブラジルなど)ブロックに対する原材料の輸出により経済制裁を迂回する現象が続いており、国際通貨基金(IMF)は、今年のロシアの年間経済成長率を-8.5%(4月見通し)から最近になり-3.4%へと大幅に上方修正している。
23日、韓国銀行が公開した資料「海外経済フォーカス」によると、最近のグローバル経済制裁の特徴は、制裁賦課国にも相当な費用が発生し▽第3国も制裁対象国になる可能性が高まり▽制裁対象国は制裁を一部迂回できる余地が増えていることだという。韓国銀行は「先進国主導の世界経済の成長軸が、中国・インド・ロシア・ブラジルなどBRICsの新興経済国に分散(多極化)され、利害関係が一致する国同士の協力の仕組みを作り域内の利益を追求する現象(ブロック化)が強化され、制裁対象国が別の協力国家との交流などを通じて制裁を避ける余地が増大している」と述べた。
ロシアは、西側の経済制裁に対して、輸出市場をBRICsに多角化して対応し、制裁の否定的な影響を大きく減らしている。ロシアの主要輸出国の6月の対ロシア輸入の資料によると、ウクライナ紛争直前(2021年12月~今年2月)の平均との比較で、米国(-68.2%)と欧州連合(EU)(-7.5%)は大きく減少したが、中国(32.2%)・ブラジル(78.5%)・インド(334.7%)は大幅に増加した。中国のロシア産原油の輸入規模は、2月の一日平均65万バレルから、6月には110万バレルに増加し、これまでロシア産原油をほとんど輸入していなかったインドは、6月には約100万バレルを輸入した。韓国銀行は「これにより、ウクライナ紛争後、ロシア経済は今年は大幅な逆成長(4月には成長率を-8~-11%と見通し)を記録すると予想したIMFや経済協力開発機構(OECD)などは、(見通しを)-6~-3%(9~10月見通し)に上方修正している」と述べた。
BRICsは、共通の経済利益を享受する経済上のブロックへの拡大を試み続けており、世界の総生産に占める割合は、2000年の7.7%から2020年には25.0%に増えた。同期間にBRICsを含む新興国が占める割合は、21.0%から40.5%に増えた。
韓国銀行は最近、経済制裁は「制裁賦課国と対象国間の高い経済的な関連性とグローバル・バリューチェーン(GVC)への参加度、エネルギー依存度、制裁対象国の輸出制限措置などにより、対象国だけでなく制裁賦課国にも貿易減少など相当な費用が発生している」と分析した。また、制裁を迂回できるよう協力する第3国に対して追加制裁を加える規定(二次的制裁)が強化され、制裁が第3国に及ぶ2次波及効果も発生している。米国が対ロシア制裁施行の際、「海外直接生産規則(FDPR)」を新たに導入したことに続き、最近の中国に対する半導体輸出の統制でもこの規定を適用していることが代表的だ。
韓国銀行は「ウクライナ紛争が激しくなるにつれ、脱グローバル化と経済上のブロック化の傾向のもとで、主要国間の経済制裁がより頻繁になりうる」とし、「米国中心の西側諸国と中国中心の反西側諸国の間の対立と相互の経済制裁の度合いが強まり、韓国は、反対側の市場に対するアプローチが制約される可能性があるにもかかわらず、2つの経済上のブロックのどちらか一方を選択しなければならないケースがいっそう多くなるリスクがある」と述べた。