米国主導の半導体協力体制「チップ4」への参加可否や、中国に対する米国の半導体装備輸出規制の可視化、米国議会の「CHIPS法」の可決などにより、サムスン電子やSKハイニックスなど韓国の半導体業界の悩みが深まっている。中国市場という「現在」と半導体投資の拡大および技術開発という「未来」を、いずれも諦めるわけにはいかない状況に置かれているためだ。
31日、ブルームバーグ通信など海外メディアによると、米商務省は最近、米国内のすべての半導体装備企業に14ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)以下の微細工程装備を中国に輸出しないよう要請する内容の公文書を送った。これに先立ち、米国政府はオランダのASMLと日本のニコンなどにも同じ要請をした。中国の半導体産業に対する牽制が可視化している様子だ。
28日(現地時間)に米下院を通過した「半導体支援法」にも、世界の半導体企業の中国投資を制限する内容が盛り込まれた。米国政府の支援を受ける企業に対し、米国の安保を脅かす特定の国で先端半導体の開発と生産のための投資を禁止することを内容としている。半導体業界の関係者は「当然、中国への投資を制限するためのものと解釈せざるを得ない。もちろん、まだ『先端半導体』の基準は決まっていない」と語った。
サムスン電子は、米テキサス州に今後20年間250兆ウォン(約25兆5千億円)を投資し、半導体工場11カ所を建設すると発表した。SKグループのチェ・テウォン会長も最近、米国に29兆ウォン(約2兆9600億円)規模の追加投資を約束した。サムスン電子は中国の西安と蘇州でNAND型フラッシュメモリを、SKハイニックスは無錫や重慶、大連などでDRAMを主に生産している。両社とも米国の半導体支援法に足を引っ張られる可能性がある。
さらに韓国は、米国が要請したチップ4への参加を近いうちに決めなければならない。中国は韓国の参加に反対する立場を重ねて表明しており、業界レベルでは解決策を探すのが困難な状況だ。匿名を希望したある業界関係者は「外交・安全保障問題までかかっており、立場を明らかにするのが難しい」としたうえで、「世界の半導体需要の半分ほどを占める中国を諦めることも、今後半導体技術開発のための装備を輸入するためには米国の要求も無視することもできない状況」だと話した。
チェ会長は最近米国を訪問した際、「チップ4について、具体的に何をどのようにするというのが正確に示されていない。もう少しディテールが整えば、韓国政府や他のところでこの問題をうまく扱うと思う」と述べたのも、企業レベルのこのような難しい状況を踏まえたものとみられる。他の半導体業界関係者は「現在は政府が賢明に対処することを願うしかない」と語った。
韓国政府の悩みも深まっている。政府省庁の関係者は「外交ラインは『加入すべき』という立場である一方、経済ラインは『慎重であるべき』という立場だ」と述べた。韓国半導体ディスプレイ技術学会のパク・ジェグン会長(漢陽大学融合電子工学部)は「チップ4に参加しなければ、半導体装備と材料の安定的な供給を受けるのが難しい」とし、「チップ4に参加しながらも、中国内の韓国企業の工場には先端半導体の装備と材料を持ち込めるように(交渉)しなければならない」と指摘した。