住宅価格の暴騰で韓国の政権が変わったという解釈には異見の余地がないだろう。ならば、他の国々の住宅価格は果たしてどれくらい上がったのだろうか。
経済協力開発機構(OECD)の住宅価格指数は、2015年を100とした場合の、2021年第4四半期現在の住宅価格水準を示している。韓国は121でOECD平均の153より低い。2015年に比べて21%上昇し、OECD平均上昇率の53%の半分にも満たない。トルコは3倍近い286で1位を占め、ハンガリーやチェコ、アイスランドが2~4位でその後に続いた。主要国の中でイタリアと日本が韓国より低く、ドイツや米国、フランスなど多くの先進国が韓国より高かった。
豊富な市中流動性など客観的条件が不動産価格の上昇の一次的原因だったことがわかる。 にもかかわらず、文在寅(ムン・ジェイン)政権が批判された理由は何だろうか。
国際通貨基金(IMF)など世界経済機関が統計を参考にする不動産会社、グローバル・プロパティ・ガイド(GPG)の住宅価格動向を見ると、その糸口をつかめるかもしれない。ソウルの住宅価格は10年前に比べて50%上昇したが、5年分の上昇率が38%に達する。10年間値上がりした住宅価格の大半が文在寅政権時代に集中した。10年分の上昇率は中国の北京(121%)や日本の東京(69%)、台湾の台北(63%)より低く、首位を争っているインドのムンバイ(184%)やチリのサンティアゴ(159%)、ニュージーランドのオークランド(141%)などよりはるかに低かったにもかかわらず、短期間で集中的に上昇したことが、不動産をめぐる世論の悪化をもたらしたわけだ。
IMFの対所得比住宅価格上昇指数を見ても、韓国は良好な方だ。2015年の住宅価格と所得を100にした場合、2021年第2四半期現在の韓国の指数は103だ。2015年に比べて住宅価格が所得より3%上昇したわけだ。1位のアイスランド(146)やルクセンブルク(142)、ニュージーランド(138)、カナダ(136)、ドイツ(132)、米国(123)、英国(112)、日本(112)、フランス(112)など、多くの先進国より低い水準だ。