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韓国の造船会社、受注好況にも800億円以上の赤字…その理由は

登録:2021-07-22 06:02 修正:2021-07-22 07:33
韓国造船海洋、第2四半期の営業損失860億円 
厚板価格の引き上げによる費用増加を繰り上げ反映 
鉄鋼業界は「低価格受注が原因」と指摘
現代重工業造船所=韓国造船海洋提供//ハンギョレ新聞社

 「(第2四半期の実績に)いくつか問題がありますので、予め申し上げます」

 韓国造船海洋のソン・ギジョン常務(IR担当)は21日午後開かれた自社のオンライン実績発表会で、重い口を開いた。現代重工業グループの造船3社を支配する中間持株会社の韓国造船海洋が、今年第2四半期だけで9千億ウォン台の営業赤字を出したと、投資家らに電撃公開した直後のことだ。

 造船業界は造船に使う鉄板価格の高騰で赤字は避けられないと訴えているが、鉄鋼業界は赤字受注が原因なのに鉄板価格のせいにしていると主張している。

 同日、韓国造船海洋が公開した今年第2四半期の営業損失は8973億ウォン(約860億円)で、昨年第2四半期に比べて大幅な赤字に転じた。現代重工業や現代三湖重工業、現代尾浦造船など子会社が4~6月の3カ月間、一斉に数千億ウォン台の赤字を記録した影響だ。

 これは市場の予想をはるかに上回る規模だ。当初、証券業界は、韓国造船海洋の第2四半期の営業赤字が400億ウォン(約38億円)程度にとどまるだろうと見込んでいた。ソン常務は「商船部門の収益性が良くなっていたのに、鋼材価格が急に引き上げられ、こうした事態が発生した」と強調した。

 韓国造船海洋は最近、船舶建造に使う厚板(厚い鉄板)の価格が高騰し、今後の予想費用の増加分である8960億ウォンを、第2四半期に繰り上げて反映したと説明した。第2四半期の赤字のほとんどが鉄板原価上昇のために発生したという意味だ。

 船舶受注から建造まで2~3年を要する造船会社は、船舶の建造進行状況に合わせて売上高などの実績を一定期間に分けて会計に反映する。もしも最初の受注当時推定した工事原価が途中で増えれば、これを追加費用として上乗せしなければならない。

 韓国造船海洋は、ポスコなど主要鉄鋼メーカーと厚板の価格を交渉中だが、供給価格が現在の1トン当たり70万ウォン(約6万7千円)台から100万~115万ウォン(約9万5千~約11万円)ウォンまで上がると見て、今後の原価増加額を前もって費用として会計処理した。

 大宇造船海洋やサムスン重工業など、まだ第2四半期の実績を発表していない他の造船会社も同じ悩みを抱えている。最近、世界的な景気回復の影響を受け、コンテナ船などの船舶発注が大幅に増えて受注好況を迎えているが、当の造船会社は急激なコスト上昇で、大規模な赤字を懸念している。大宇造船海洋やサムスン重工業は、今年第1四半期もそれぞれ2129億ウォン(約200億円)と5068億ウォン(約480億円)の営業赤字を記録した。

 一方、鉄鋼業界は造船業界のこのような説明に反発している。ある大手鉄鋼メーカーの関係者は「そもそも造船会社が原材料価格の変動可能性を考慮せず、低価格で受注したのが原因なのに、今になって鉄鋼会社のせいにしている」と指摘した。

 鉄鋼メーカーは2008年の世界金融危機以降、造船業が長期不況に陥っている間、供給価格の引き上げを控えるなど、苦しみを分かち合ってきたと説明した。今も造船業界には他の業界に比べて厚板を1トン当たり50万ウォン(約4万8千円)以上安く供給しているが、鉄鉱石など原料価格が急騰したため、今は値上げが避けられないという立場だ。

 鉄鋼業界の関係者は「最近、厚板事業部の社員らはほかの事業部に比べ収益が高くないため、成果給を受け取れないとして、不満を抱いている」とし、「過去、韓国の鉄鋼業界が日本や中国産の輸入などで困難に直面していた時は主導権を握って価格を抑えた造船各社が、いざ立場が逆転すると私たちを悪者にするのは納得がいかない」と述べた。

 同日、韓国造船海洋の株価は前営業日より4.49%(5500ウォン)高の1株=12万8千ウォン(約1万2千円)で取引を終えた。大信証券のイ・ドンホン研究委員は本紙との電話インタビューで「厚板の価格引き上げによる損失はすでに予告された悪材料だったため、投資家は不確実性が解消されたと判断したようだ」とし、「ただ、厚板以外の船舶原材料価格も上昇する傾向にあり、下半期にも大きな利益を期待するのは難しいだろう」と見通した。

パク・チョンオ記者員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/1004539.html韓国語原文入力:2021-07-22 02:46
訳H.J

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