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[ルポ]韓国型戦闘機KF21・ヘリ組立は完全な手作業…「一機組み立てるのに2年」

登録:2021-06-10 06:37 修正:2022-07-09 07:13
韓国型戦闘機・スリオンの組立ライン 
 
KF-21の2~6号試作機、組み立ての真っ最中 
出庫された1号機は厳しい地上テスト中  
ヘリ組み立てラインでは警察用・消防用を製造中 
韓国型戦闘機KF-21の試作機が組み立てられている=韓国航空宇宙提供//ハンギョレ新聞社

 今月4日午後、慶尚南道泗川市(サチョンシ)の韓国航空宇宙産業(KAI)の韓国型戦闘機(モデル名KF-21)試作機組み立てライン。今年4月9日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が出席した中で開かれた韓国型戦闘機の出庫(組み立てが完成されて自らの車輪で転がっていくという意味でロールアウト(Roll-Out)と呼ばれている)行事で公開された「1号機」の次に披露される試作機2~6号機が、内部が見える状態で組み立てられていた。2号機はミサイルが正常に装着されているかなどをテストする段階だ。

■韓国型戦闘機の組み立てラインを本紙に公開

 試作機は量産に先立って各種テストと試験飛行用で作ったものだ。試作機を開いて分解し、不備な部分を補完・交換して再び組み立ててテストする過程が数え切れないほど繰り返される。試作機のテスト飛行は約1年間地上テストを経て「合格」の判定を受けなければならない。

 KAIはこの日、本紙に韓国型戦闘機の組み立てラインをメディアでは初めて公開した。同日公開された組み立てラインの戦闘機本体と翼などはいずれも、春の桑の葉のようにやわらかい薄緑色を帯びていた。組み立てはほとんど全て“手作業”で行われていた。2号機のミサイル装着作業には20人あまりのエンジニアが一緒に取り組んでいた。

 KAIのキム・ジュンミョン運営グループ長は「自動車生産ラインのようなベルトコンベアー式を想像していたかもしれませんが、全く違います」と笑った。韓国型戦闘機の首席エンジニア、イ・イル常務は「戦闘機はアルミニウムのような特殊素材の金属を使用し、溶接ができない。本体をつなげたり、翼などを本体に貼り付ける際は、両方に細かく穴をあけた後、ネジで固定させる方式でつなぐ。翼の片側だけで、この作業を1万回以上行う」と説明した。継ぎ目の部分を触ってみると、ミシンで塗ったかのようにきめ細かだった。ねじで固定した部分も手に引っかかる感覚が全くないほどなめらかだった。ねじが1ミリでも飛び出てしまうと、空気抵抗を引き起こす。

 イ常務はさらに「戦闘機は戦闘中に銃弾を受けて一部構造が損傷しても機能が維持されるよう、内部に複雑な格子構造を持つように設計され、操縦席から翼の端まで電子装備が細かく備え付けられている」と説明した。燃料タンクも、機体の様々なところに9つがあり、すべて操縦席から電子装置で制御するように設計されているという。この日見た半製品段階の試作機では、電子装備を連結する様々な長さと太さのケーブルが格子構造の通路に集まってはばらばらになることが繰り返し見られた。また、ケーブル同士は1~2センチメートル間隔で束ねられ、格子構造の本体骨組みに細かく固定されていた。イ常務は「戦闘機は飛行速度が速い上、急上昇と急下降を繰り返すため、少しでも緩いと損傷を受けて騒音を引き起こす」と語った。

■試作機の出庫は開発の中間段階

 韓国型戦闘機の試作機は各種兵器を装着してみる段階まで終えれば、地上テスト場所に送られる。1号機はここまでで6年ほどかかった。1号機は現在、組み立てラインの向かい側の建物で、地上テストを繰り返している。この作業だけでも再び1年ほどかかる。KAI固定翼事業部門のリュ・グァンス専務は「燃料を注入して試験飛行に乗り出せると判断されるまで地上でテストと改善作業が繰り返される。その後、2341時間の試験飛行を経て、問題点がないことが確認されれば、量産を始める」とし、「全体開発日程からすると、中間程度まで来た」と述べた。

今月4日、韓国航空宇宙産業のヘリ組立ラインで国産起動ヘリ「スリオン」が組み立てられている=韓国航空宇宙提供//ハンギョレ新聞社

 回転翼(ヘリ)組み立てラインでは、警察や慶尚南道消防庁などから注文を受けたヘリが組み立てられていた。戦闘機同様、作業はかなりの部分が手作業で行われる。キム運営グループ長は「防衛力改善のために開発した軍人力輸送用ヘリ『スリオン』(KUH)を民需用に応用したヘリだ。消防や警察、企業など注文者の要求により特定の機能が追加された形で組み立てられ納品される」と述べた。

 KAIは、航空機の翼を基準に固定翼と回転翼事業を展開している。固定翼部門では基本訓練機(KT1)と高等訓練機(TA-50)を量産し、空軍納品と輸出(タイやマレーシアなど)を始めたのに続き、インドネシアと提携し、韓国型戦闘機を開発中だ。計170機以上の注文を受けている状態だ。地上テストと初度飛行を経て、2024年半ばから量産する予定だ。回転翼部門ではスリオンを開発して軍納品と輸出(カンボジアやインドネシアなど)を始めたのに続き、小型の攻撃用武装ヘリを開発中だ。キム運営グループ長は「高等訓練機が初度飛行を終えて滑走路に入った時は、職員たちが工場の屋上で抱き合って泣いた」と伝えた。

泗川/キム・ジェソプ先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/998742.html韓国語原文入力:2021-06-10 04:59
訳H.J

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