昨年6月、20代のA氏は、金融機関からの融資4億5千万ウォン(約4千万円)に自己資金1億ウォン(約900万円)を加えて、ソウル市瑞草区(ソチョグ)の10億ウォン(約9千万円)のマンションを購入した。不足資金の4億5千万ウォン(約4千万円)は、両親がそのマンションに借家人として入ったことにして渡した貸切保証金で充当した。40代のB氏は、貸切保証金(9億5千万ウォン=約8600万円)のついたギャップ投資形式で昨年8月に江南区(カンナムグ)の17億ウォン(約1億5千万円)のマンションを買い取り、両親から借用証なしで借りた5億5千万ウォン(約5千万円)を加えた。「ソウル地域実取引関係機関合同調査」で摘発された家族間の便法贈与が疑われる事例だ。
国土交通部・行政安全部・金融委員会・金融監督院・ソウル市は4日、昨年8~10月に申告されたソウル地域の怪しい住宅取引1333件(借入金過多、現金中心、実取引虚偽申告が疑われる事例など)を調査した結果、脱税、融資金転用など768件の違法事例を摘発したと明らかにした。
このうち最も多く摘発されたパターンは、贈与税逃れだった。両親-子どもなど親族間で、住宅保証金形式で便法贈与したり、相場にはるかに満たない低価格取引で贈与税を低くして、借用証の作成や無利子で金銭が渡った670件が国税庁に通知された。自治区別に見れば、ソウル市江南区が109件で最も多く、次いで松坡区(ソンパグ)(82件)、江東区(カンドング)(56件)、城東区(ソンドング)(54件)、永登浦区(ヨンドゥンポグ)(52件)の順であった。
事業資金として融資を受けた資金を、住宅購入に転用した事例も多かった。電子商取引個人事業者のC氏は、相互金融組合から個人事業者融資で借り受けた5億ウォン(約4500万円)を瑞草区(ソチョグ)の21億ウォン(約1億9千万円)のマンション購入に加えた。小売業法人が相互金融組合から法人事業者融資19億ウォン(約1億7千万円)を借りて江南区の25億ウォン(約2億3千万円)のマンションを買い入れた事例もあった。金融委と金融監督院は、こうした融資規定違反が疑われる事例94件を追加で調査し、融資金を回収する計画だ。譲受した江東区のマンション代金を払い、所有権だけを知人名義にした後、貸切契約の形でその住宅に住んでいるケースは、名義信託が疑われる事例として警察庁に通知された。また、契約日を虚偽申告し、不動産取引法に違反した3件については過料3千万ウォン(約270万円)が賦課される。
昨年8月以後、ソウル地域に集中した不動産の怪しい取引に関する政府機関合同調査は、今月からは京畿道果川(クァチョン)・河南市(ハナムシ)など投機過熱地区31カ所に拡大される。3月からは住宅購買時の資金調達計画書を提出しなければならない全地域(調整候補地域の3億ウォン=約2700万円以上の物件、非規制地域の6億ウォン=約5500万円以上の物件)の住宅取引が調査対象になる。国土部は、1次官の直属で「不動産市場不法行為対応班」を設置し、怪しい取引と市場かく乱行為に対する調査の強度を一層高める計画だ。