文在寅(ムン・ジェイン)大統領が不動産投機勢力との長期戦を念頭に置いたように「住宅価格安定のために間断なく対策を打ち出す」と述べ、注目される。これは政府の「12・16住宅市場安定化対策」以降、住宅価格高騰の勢いがやや鈍ってはいるものの、規制が少ない住宅で「風船効果」が起こるなどの不安な兆しが見られれば、さらに強力な対策を打ち出すという意味と解釈される。
文大統領は14日、大統領府で開かれた年頭記者会見で「不動産投機を抑え、市場を安定化させるという政府の意志は固い」として、「一部の地域で、庶民たちが納得し難く、違和感を覚えるほどの急激な価格上昇が見られるが、このような地域は価格が原状回復されるべきだと思う」と述べた。住宅価格が高騰したソウル江南(カンナム)や「麻・龍・城(麻浦(マポ)・龍山(ヨンサン)・城東(ソンドン)の各区)」などの非江南圏、果川(クァチョン)などの首都圏は、文在寅政権発足当初、つまり3年前の水準にまで価格が下落するのが望ましいという政策意志をほのめかしたものだ。
文大統領は、不動産市場を安定させるために、いつでも追加対策を打ち出し得ると強調した。文大統領は「政府が対策を打ち出し相当な期間にわたって効果があっても、再び迂回する投機手段を見つけ出すのが投機資本の生理」だとし、「今の対策内容が時効を迎えたと判断されれば、さらに強力な対策を間断なく打ち出すだろう」と述べた。文大統領はまた「先(12・16)の対策は9億ウォン(約8540万円)以上の高価住宅と複数住宅所有者が焦点だった」、「9億ウォン以下の住宅の価格が上がる風船効果が生じたり、不動産売買需要が伝貰(チョンセ。家主に一定の金額の保証金を預ける賃貸方式)需要に移り、保証金が値上がりするなど、異なる効果が生じるか鋭意注視し、いつでも補完対策を打ち出すつもり」だと述べた。
市場では、最近懸念が示されている「風船効果」が確認された場合、政府が住宅担保比率(LTV)規制を強化するとともに、住宅担保融資を禁止する住宅価格の範囲をより低価格の住宅にまで広げる対応に出るものと見ている。時価9億ウォン以下の住宅の住宅担保比率(LTV)をさらに引き下げ、融資禁止対象である15億ウォン(約1億4200万円)を9億ウォン程度に引き下げる案などが実施され得るということだ。建て替え年限を現行の30年から40年に引き上げるなど、建て替え規制を強化する案も検討対象に挙がっている。最近ソウルの木洞(モクトン)などを中心に住宅価格が上昇するなど、市場不安の震源地として安全診断の初期段階にある建て替え市場が挙げられているからだ。伝貰市場の不安が続けば、伝貰保証金および家賃の上限制や契約更新請求権などの賃借人保護対策が推進されると予想される。
また、総合不動産税などの保有税は公示価格の現実化を通じてさらに強化されるものとみられる。文大統領は「保有税を強化する方向が正しいと思う」とし、「先の対策で高価・複数住宅所有を中心に総合不動産税率を引き上げるとともに、住宅公示価格の現実化を通じて事実上保有税を引き上げている」と説明した。しかし、文大統領は取引税や譲渡所得税の緩和については、慎重に検討すべきと述べた。取引税を引き下げれば地方財政に影響を与えかねず、譲渡は一種の不労所得であるため、これを引き下げるのは国民感情に合わないと文大統領は説明した。
国土交通部はこの日、ホームページに「12・16住宅市場安定化対策1カ月、住宅市場についての疑問」という文章をアップし、最近の市場状況の診断と追加対策の可能性に言及した。国土部は「現時点では住宅価格の上昇幅が緩和されただけで、まだ安定基調が確実だと判断するには早い」とし、「過熱状況が再燃すれば、融資規制および住宅取引と供給全般にわたる強力な対策を躊躇なく施行する予定」と明らかにした。