韓米自由貿易協定(FTA)が改定の局面を迎えたことで、自動車と鉄鋼業界は戦々恐々としている。輸出が低迷している状況で、改定交渉の「第1ターゲット」とされており、困惑を隠せない表情だ。
米国は交渉テーブルで「関税賦課」と「非関税障壁の廃止」という二枚のカードを取り出すものと予想される。自動車分野は韓米自由貿易協定の日程に合わせ、昨年1月から両国いずれも無関税を適用してきた。関税の復活はそれだけ価格競争力を失うことになるため、対米輸出物量の多い自動車企業としては少なからぬ打撃を受けると見られる。現代自動車は今年の全体輸出の3分の1ぐらいの約23万台を米国に輸出した。同社関係者は「再び関税が課されると、価格競争力が落ちるしかない。現在のところ、交渉がいかに進められるのか、推移を見守っている」と話した。
関税が再び課された場合、ルノー・サムスンも打撃を避けられない。ルノー・サムスンは釜山(プサン)工場で、2014年9月から日産の中型スポーツ実用車(SUV)の「ログ」を生産し、全量を米国に輸出してきた。2015年に11万台、昨年には13万台を生産し、米国に輸出した。自由貿易協定の利点が消えれば、ルノー日産側が生産物量を他国に回す可能性が高いと見られる。ログはルノー・サムスン釜山工場の生産量の半分を占めており、生産物量の調整が現実化された場合、雇用と協力会社への被害などが生じる恐れがある。
改定交渉でまた別の争点に浮上している分野は、自動車輸入の「非関税障壁」の問題だ。これまで米側は、韓国が米国産自動車に排出ガス基準を過度に高く設定する形で規制を強化したと主張してきた。また、排気量を基準にしている自動車税の賦課基準と燃費規定なども問題視するものと予想される。両国の貿易不均衡の原因が自動車産業にあると指摘したウィルバー・ロス米商務長官は先日、「米国輸出企業に相当な非関税障壁がある」と述べた。
鉄鋼産業はすでに米国の強力な輸入規制を受けている。今年3月、米商務省は韓国産厚板に反ダンピング関税と相殺関税11.7%、その1カ月後には韓国産油井管に最大24.9%の関税を課した。鉄鋼業界は、改定交渉により米国の赤字を理由に追加関税が賦課された場合、輸出に大きな打撃を受けるものと懸念している。