今年30歳になった会社員のソ氏は「20代で自動車を買う」考えをついに実現できなかった。4年前に会社に就職した時は、2~3年で金を貯めて車を買おうと決めたが、残る学資金の負債や借家住まいでの出費が重なり自動車の購入など思いもよらなかった。
長引く青年失業と不況などの影響で、20代の車両購入がますます減り、国産車企業への影響が大きくなっている。所得格差が広がり比較的値段が安い国産車を「最初の車」に選んだ20代が、車を買えない状態に追い込まれている反面、学資金などの負債がなく比較的安定した職場にいち早く就職した人は、むしろ輸入車の購入に意欲を示している。
12日、韓国自動車産業協会の資料によれば、昨年の20代の乗用車購買数は10万9671台だった。30代以上の年齢層のすべてで車両購買が増えているのとは対照的だ。20代の新車購買数は2010年に14万8069台を記録した後、2011年に13万8880台、2012年に12万4510台、2013年に11万1558台で4年間下り続けている。
とはいえ潜在需要が減ったわけではない。警察庁集計によると、20代の新規運転免許発行者数は2008年の39万人から2009年には40万人を超え、2012年には55万人まで増えるなど決して少なくない。
業界では高くなる就職年齢と学資金などの借金増加、所得格差の増大が車両購買につながる道を遮っていると分析する。韓国雇用情報院が2012年調査した資料によると、新入社員の年齢は男性が33.2歳、女性が28.6歳で非常に高かった。
20代を失業者としてすごす人が増え、貯蓄できる期間が短くなった若年層が「最初の車」として好んだ国産小型車は行き場所を失いつつある。2013年に24万台を超した国産小型車の販売量は昨年は22万台の水準に落ち込んだ。
比較的余裕がある20代の輸入車好みが進み、一部の20代は持ち家など事実上達成しにくい希望のための貯蓄をするより、現実的に実現可能な輸入車の購入意欲を示すこともある。会社員のキム氏(31)は「ソウルで家を買う意欲がわかず貯蓄はほとんど諦め、3年前に車を買うことにしたが、どうせならと乗りたかった輸入車に決めた」と話す。韓国輸入自動車協会の昨年の車両登録統計によると、20代の新規登録車両は9304台で2013年の7790台に比べ19.4%増えた。
国産車企業が若年層を狙った車両の販売不振にも、こうした流れが反映された。現代自動車が2011年に「ペロスター」「i30」「i40」をまとめたPYLブランドが、マーケティング戦略修正など様々な処方がされても販売実績が振るわないのが代表例だ。
韓国より先に20代の車両消費が減った日本の自動車企業は、自動車体験空間を運営するなど積極的に解決策に乗り出している。イ・ハング産業研究院主任研究委員は「若年層の消費力弱化とともに(市場を独占してきた)国内車企業の安易な対処も影響した」とし、「技術力重視、スマートカーなどに対する関心など変化する消費指向の分析と共に原価節減努力なども始めねばならない」と説明した。
韓国語原文入力:2015.03.12 22:14