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マスク氏の心変わり?「火星より先に月に都市を建設…10年以内に可能」

登録:2026-02-12 21:37 修正:2026-02-16 06:53
[クァク・ノピルの未来の窓] 
「多惑星種戦略」の中心軸を火星から月へ 
NASAの圧力と中国の追い上げを意識し方向転換か
スペースXの月着陸船スターシップで貨物を降ろすシーンを描いた図=スペースX提供//ハンギョレ新聞社

 米国の宇宙企業「スペースX」を率いるイーロン・マスク氏が、人類を多惑星種にするという深宇宙開発の中心軸を火星から月へ移す戦略的転換を行うことを発表した。

 最近、火星行き宇宙船の打ち上げ計画を延期し、月着陸船の開発に注力することに加えて、月に自立型成長都市(self-growing city)を建設する方針を示した。

 マスク氏は8日(現地時間)にソーシャルメディア「X」への投稿で、「スペースXはすでに月に自立型成長都市を建設することに焦点を移した」とし、「火星は都市建設に20年以上かかるのに対し、月は10年以内に達成できるからだ」と書き込んだ。マスク氏は月の都市建設期間が短いことの理由として、火星には26カ月に一度しか行けないが(到着まで6カ月)、月には10日周期で打ち上げが可能である(到着まで2日)という点を挙げた。さらに「誰でも月に行けるシステム」を構築する方針を示した。

 マスク氏のこの発言は、スペースXが最近投資家に送った書簡で「月に行くことを最優先にし、火星旅行は後で試みる」と明言した直後に出たもの。スペースXはこの書簡で、2027年3月までにスターシップで無人着陸を試みる計画も示した。これは、月を「障害物」とし、「すぐに火星へ向かう」と述べていたマスク氏の従来の立場を完全に覆すものだ。

 マスク氏は「スペースXは火星でも5〜7年以内に都市建設を開始できるよう努力するが、最優先課題である文明の未来を確保するためには月の方がはやい」と説明した。マスク氏が当初明らかにした多惑星文明の青写真は、スターシップを1000回発射して火星に100万人規模の自立型成長都市を建設するというものだった。月での都市建設に関する構想は含まれていなかった。

イーロン・マスク氏が構想した火星の都市の想像図=スペースX提供//ハンギョレ新聞社

■2030年代の月基地建設計画にも協力する見込み

 マスク氏の転換は、米航空宇宙局(NASA)が2028年に予定されているアルテミス3号の月面着陸推進方式を再検討する方針と関係があるものとみられる。

 スペースXはアルテミス3号の月着陸船の契約を結んでおり、現在開発中の次世代ロケット一体型宇宙船スターシップの開発が完了すれば、これを月着陸用に一部改造して使用する計画だ。

 しかし、NASAはスターシップの開発が予想より遅れたため、スペースXではなく、他の企業の月着陸船を利用する案を進めている。日程に合わせることができるならば既存の契約に関係なく他の企業にチャンスを与えるという立場だ。有力候補は、アルテミス5号の契約先であるアマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏のブルーオリジン。ブルーオリジンは、技術テスト用に開発した小型月着陸船「ブルームーン・マーク1」を今年中に打ち上げる計画だ。

 NASAのジャレッド・アイザックマン長官は、昨年12月3日の米議会承認審問で、スペースXとブルーオリジンの競争を歓迎する姿勢を示した。アイザックマン長官は「スペースXにとって最良の刺激は、すぐ後ろからブルーオリジンが追い上げてくることだ」と語った。

 マスク氏が立場を変えたのは、中国との月への競争で優位に立たなければならないという米政府の戦略的目標に応える側面もある。

 中国は2030年以前に月への有人着陸を実現し、2035年までにロシアと協力して月基地を建設することを目指している。

 NASAもまた、2030年代中盤までに月基地を作るという青写真がある。ドナルド・トランプ大統領はこれを実現するために、昨年末に大統領令を通じて2030年までに月基地用の原子炉を建設するよう指示した。マスク氏が10年という月基地建設期間を提示したのは、NASAのこの構想を意識したものとみられる。

スターシップを使って月基地を作る過程を描いた図=nextbigfuture.comより//ハンギョレ新聞社

■一度に100トンを輸送するスターシップの威力

 これについて、マスク氏はある航空宇宙エンジニアがスターシップを月基地に改造しようという内容の投稿をシェアし、「本当に素晴らしい」とコメントした。このエンジニアは投稿で国際宇宙大学(International Space University、ISU)の研究チームの論文を紹介し、「約1000立方メートルに達するスターシップの内部空間は基地を建設するのに十分な規模だ」と記した。これは実際の面積100坪規模の5階建てマンション1棟に相当する大きさだ。

 研究チームは2021年にアラブ首長国連邦のドバイで開催された第72回国際宇宙会議(IAC)で発表した「月基地建設のための解決策:スペースXのスターシップを永続的な居住地として活用する方法」という題名の論文で、「技術的、法的に実現可能な範囲内で迅速かつコストの面で効率的で、支援可能な永続的なモジュール型月基地建設のためのフレームワーク」としてスターシップを活用する方法を提案した。

 垂直に着陸した宇宙船を水平に寝かせた後、燃料タンクを改造して国際宇宙ステーションよりも広い生活空間を確保し、それを月の砂(レゴリス)で覆って放射能から保護することを中心内容とする。こうすることで、スターシップに運ばれた酸素、水、食料などの資源だけで最低180日間安全に自給自足しながら滞在できるシステムを作ることができるということだ。現在の設計上、スターシップは軌道給油方式を通じて一度に100トン以上の貨物を月まで送ることができる。

 1987年に設立された国際宇宙大学は、フランスのストラスブールに本部を置く非営利の教育機関で、いわば宇宙専門家のグローバルネットワークだ。

クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/science/future/1244428.html韓国語原文入力:2026-02-11 10:02
訳H.J

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