日本の宇宙企業「アイスペース」(ispace)が行なった民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1で、同社の開発した無人探査船は26日未明、月面着陸を試みている間に通信が途絶えた。
アイスペースの袴田武史・最高経営責任者は、予定の着陸予定時刻を30分経過した時点でも交信できず、「通信が途切れたということは、月面着陸を完了できなかったと仮定しなければならないことを意味する」と述べた。
着陸船はこの日午前0時40分頃、月上空100キロメートルの地点で高度を下げ始め、月の表側の北東側のアトラスクレーターに向けて接近し、午前1時40分頃に着陸を試みた。だが、着陸船は地上90メートルまで接近した後、通信が途絶えた。
アイスペースの着陸船の月面着陸が成功した場合、世界初の民間月面着陸を記録することになるため、世界的な注目を集めていた。
高さ2.3メートル、幅2.6メートル、重さ340キログラムの着陸船は、日本史上初の月着陸船であり、同社が計画している月探査プログラム「HAKUTO-R」の第1弾だ。「ハクト」は「白いウサギ」という意味。
これに先立ち着陸船は3月21日、月上空100~6000キロメートルを回る楕円軌道に進入した後、次第に距離を狭め、14日に月上空100キロメートルを回る円形軌道に到達した。
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2024年、月表土収集ロボットを載せて再挑戦
最高経営責任者の袴田氏は「月面に達するまでの全過程において、宇宙船との通信は円滑に行われた」とし、「着地の頃にどのようなことが起きたのか詳細に調査する必要がある」と述べた。だが、袴田氏は「私たちはすでにミッション1で多くのことを成し遂げ、今日得た教訓を次に予定されている任務に活用できるだろう」と付け加えた。
アイスペースが2024年末に発射するミッション2では、自主開発した小型ロボットの探査車を載せて送る計画だ。この探査車には、NASAに販売を契約した月の表土を収集する装置が搭載される。
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米国の2企業も月着陸船を発射予定
アイスペースの失敗により、最初の民間月着陸船の記録は、米国のアストロボティックとインテュイティブ・マシーンズの二つの企業の競争に絞られた。両社の月着陸船は、NASAが有人月面着陸計画「アルテミス計画」を支援するために作った「民間月探査プログラム」(CLPS)の一環だ。
インテュイティブ・マシーンズは、早ければ6月末に月着陸船「Nova-C」をスペースXの「ファルコン9」ロケットに載せて発射する予定だ。アストロボティックは当初、5月4日にユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)の新型大型ロケット「バルカン・ケンタウロス」を利用して月着陸船「ペレグリン」を発射する予定だったが、最近、ロケットの試験中に爆発事故が起きたため、発射スケジュールは不透明になった。同社は現時点では6月か7月初めの発射を目標にしていると明らかにした。