済州の西部で絵と建築を「眺める」だけの芸術旅行をしてきたなら、今度は旅人自身が実践してみてはいかがだろう。実際に写真家になってみるのだ。島の西側には、ポーズを取って素敵な旅行写真を撮るのにぴったりなフォトゾーンがいくつもある。
安徳(アンドク)渓谷は済州ならではの渓谷美が味わえる写真撮影スポットだ。西帰浦市安徳面柑山里(ソグィポシ・アンドンミョン・カムサンニ)を通る、海へと向かう流れに形成された渓谷だ。秘密の庭に入っていくかのように、入り口は狭い。渓谷周辺にはスダジイ、タブノキ、ツルグミなどが群落を成し、木陰を提供してくれている。この常緑樹林は国の自然遺産になっている。
新桃2里(シンドイリ)には「トグリとモサルムル」がある。済州オルレ12コースの一つだ。有名なフォトゾーンでもある。その理由は、済州の玄武岩が海水を堤防のように阻むことでできたトグリがあるからだ。トグリとは「石でできた大きな器」を意味する。この地には大きなトグリが1つ、小さなトグリが3つ集まっている。トグリにたまった水に旅人の姿が映るため、素敵な旅行写真が撮れる。夕暮れ時の写真も美しい。トグリには伝説がある。天から降りてきた仙女が大きなトグリに海産物を入れ、小さなトグリでは沐浴(もくよく)した。孝行娘のイ・スンドクが大きなトグリにやって来て、閉じ込められていた3匹のカメを見て、病の父の薬にしようとしたところ、カメは自らの身分を明かした。龍王の息子たちだったのだ。スンドクが彼らを逃がしてやると病の治る水がわき、夫も得た。この水は「モサルムル」と呼ばれた。このような伝説から「無病長寿トグリ」、「縁のドグリ」という別称が生じた。
西帰浦の海岸沿いにあるナンドゥルマウルを囲む軍山(クンサン)オルムを登ると、青の濃い済州の空とそよそよと揺れる木を1枚の写真に収めることができる。オルムの頂上からは漢拏山(ハルラサン)、中文(チュンムン)観光団地、山房山(サンバンサン)、西帰浦沖に至るまで、一帯が一望できる。頂上には龍の2つの角のような形をした岩があり、そばには写真撮影用の椅子も置かれている。
花畑は代表的なフォトゾーンだ。翰林邑(ハルリムプ)にあるカフェ「MOLLO」の前には、華麗なひまわり畑が広がる。ひまわりは済州の夏を代表する花だ。ひまわりは島のあちこちに咲いているが、島の西部の旅でひまわり畑と言えばここ。
済州神話ワールドによって作られた「神話ガーデン」も、小道があってオレンジに色づいたコスモスなどが咲いており、素敵なフォトゾーンだ。7500平方メートルの規模を誇る。色とりどりの小さな椅子があちこちに設置されている。撮る方向によって異なる風景が写真に納まる。一つの場所なのに様々な場所で撮ったような作品が誕生する。