スウェーデン・アカデミーが尋ねた。「韓国初のノーベル文学賞受賞者となったお気持ちは?」
小説家のハン・ガン氏(韓江、53)は答えた。「幼い頃から本と一緒に育ちました。とても身近なもので、韓国文学とともに育ったとも言えると思います。私の(受賞の)ニュースが韓国文学の読者や私の友人たち、作家たちにも良いニュースになればと思います」
2024年ノーベル文学賞受賞者へのインタビューのためにスウェーデン・アカデミーがハン・ガン氏に電話した時間は、夕方8時頃。ハン・ガン氏は息子とちょうど夕食を終えたところだった。「今日は仕事をせず、少し本を読んだり散歩をしたりしました」。電話に出る前までの「とても穏やかな夕方」は、一瞬にして「本当に驚き、このうえなく光栄」な夕方に変わった。
ハン・ガン氏は自身の作品にはじめて接する世界の読者に対し、『別れを告げない』を最初に読んでほしいと語った。最新作だからだ。『菜食主義者』については「3年かけてこの小説を書いたが、いろいろな理由で私にとって非常につらい時期だった。3年間、主人公と周囲の人物、木と日差し、そのすべてが生き生きとしていたそのイメージを探すために孤軍奮闘した」と話した。
また、自分がインスピレーションを受けた作家については特定しなかった。代わりに「すべての作家は一つの集団」で「時には道に迷い、時には断固としている。彼らの努力、彼らのすべての力がインスピレーションの源だった」という言葉に代えた。
「スウェーデンの作家、アストリッド・リンドグレーンがインスピレーションの源の一人だと書かれたものを読んだ」と水を向けたアカデミー側の質問にも「『はるかな国の兄弟』が好きではあったが、幼い頃にインスピレーションを受けた唯一の作家とは言えない」と答えた。ハン・ガン氏は小説『少年が来る』の発表後の講演で、5・18(光州民主化運動)の3年後である1983年に自身が読んだリンドグレーンの児童小説『はるかな国の兄弟』の強い印象を振り返り、「子ども向けの本としては驚くべきことに、最初から死について語っている」と述べ、愛と絶望、尊厳と苦しみの同伴者的な関係について「そのようにほぼ不可能な方法で、時に私たちは出会いを経験するのかもしれない」と述べたことがある。
最後にお祝いの予定を尋ねたアカデミー側に、ハン・ガン氏はとてもハン・ガン氏らしく答えた。
「この電話を終えたら、息子と一緒にお茶を飲みながら静かに祝います。お酒は飲みません」