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[レビュー]韓国の男はどこで「男」になるのか

登録:2022-02-11 09:07 修正:2022-02-11 10:01
『男たちの部屋:男になること、風俗店、アガシ労働』ファン・ユナ著、五月の春刊
『男たちの部屋:男-なる、風俗店、女の子労働』ファン・ユナ著、五月の春刊、1万6000ウォン//ハンギョレ新聞社

 「そうです、ここでは本当にお客様が王様です」

 モンスターカスタマーが社会問題に飛び火し、それに対する批判の声が高まっている昨今、ある意味では唯一はばかることなく、逆に扇がれながら王様または主人になれる「ここ」とはどこだろうか。風俗店の従事者のインタビューに登場する「ここ」とは、他でもない風俗店の「ルーム」だ。本書『男たちの部屋』はそこから名付けられたタイトルだ。しかしこの男たちの部屋は、女性の存在なしには成り立たない。彼らが王様や主人として力を振るえる対象は、すなわち「アガシ(「お嬢さん」の意味だが、若い女性を見下したり水商売の女性をいう呼称として使われることもある)」と呼ばれる女性だからだ。著者が性売買などの行為ではなく「部屋」に注目するのは、部屋という枠組みの中で性を搾取することが男性の遊びの文化として通用しており、それを通じて女性蔑視と嫌悪を内面化することが、韓国社会で「男になること」の過程として定着しているからだ。

 そのような女性蔑視と嫌悪の遊戯は、単に「風俗」の従事者ばかりに適用されるものではない。いわゆる「バーニング・サン事件」で明らかになったクラブの現実も大きな違いはない。女性ゲストの「女らしい」外見とファッションはクラブの入場の条件になっており、フロアゲストとして入場した場合は、酒代に多額の金を支払ったテーブルゲストが、女性を対象に「人形くじ引き」ができるというルールに従わなければならない。人形に選ばれないとしても、「女性ゲストはクラブの内部に存在するだけで、クラブの収益を作りだす商品として機能する」

 著者は、会社などの公的領域からは事実上消された「アガシ」という表現が、風俗店では消費者だけでなく従事者にも好まれるという点に着眼し、「アガシ労働」という概念を提示する。アガシ労働は、お酒を注ぎ煙草に火をつけるだけでなく、対話を通じてつまらない男も偉い人のように褒めたたえ、時には「軽く付き合う関係の感情」まで親しげに演出しなければならず、露骨なセクハラも適当に受け流すか要領よく避けなければならない。高度なケア労働であり感情労働でもある。しかし、この過程で発生しうる暴力などの不祥事からは、事業主も警察も彼女らを保護しない。女性の人権は「男たちの部屋」の外でのみ存在するからだ。

 男たちの部屋は、特殊で孤立した場所ではなく、韓国社会の日常として作動している。はばかることなく女性を弄び陵辱できるオンライン上のチャットルームや、テレグラムのn番部屋、アダルトライブ配信なども、拡張された男たちの部屋だ。そのため、解決策も容易ではない。著者は、様々な場で女性たちが声をあげ、烙印と嫌悪に対抗して一緒に闘う実践が、男たちの部屋を倒せる力だと語る。

キム・ウンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/1030696.html韓国語原文入力:2022-02-11 05:00
訳M.S

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