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韓国の小説家ユン・ゴウン氏、アジアの作家で初めて英国推理文学賞「ダガー賞」受賞

登録:2021-07-03 10:17 修正:2021-07-03 13:41
作家のユン・ゴウン氏=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 ユン・ゴウン氏の小説『夜の旅行者たち』の英訳本(英語タイトル『The Disaster Tourist』)が、英国推理作家協会(CWA)主催の「ダガー賞」(The CWA Dagger)で翻訳推理小説賞を受賞した。韓国文学翻訳院は、アジアの作家でこの賞を受賞したのはユン・ゴウン氏が初だと紹介した。

 英国推理作家協会は『夜の旅行者たち』について「韓国から来た非常に興味深いエコ・スリラーで、辛辣なユーモアで肥大化した資本主義の危うさを告発する作品」と評した。1日(英国現地時間)、オンライン上で行われた授賞式にはユン・ゴウン氏と翻訳者のリジー・ビューラー氏が参加した。ユン氏は「受賞者として呼ばれたことに驚き、別の次元に行くワームホールを発見したような気分だ。この幻想的なワームホールに喜んで入り込み、これからもっと自由に文章を書きたい」と感想を述べた。

 ダガー賞は、英国推理作家協会が1955年に制定した英語圏の代表的な推理文学賞の一つで、毎年フィクションとノンフィクション大賞の計11部門が選ばれる。『夜の旅行者たち』が受賞した翻訳推理小説部門は、英語に翻訳された外国の推理文学の中から優れた作品に与えられる賞で、2019年までインターナショナル・ダガー賞と呼ばれてきた。今年はフレデリック・バックマン、ロクサーヌ・ブシャールなど6人の作家の作品が最終候補に挙がり、『夜の旅行者たち』と競合した。歴代の受賞者にはフランスのアネロール・ケイル、フランスとイスラエルの二重国籍のフランス語作家ドブ・アルフォン、スウェーデンのヘニング・マンケルなどがいる。

『夜の旅行者たち』英訳版の表紙//ハンギョレ新聞社

 『夜の旅行者たち』は災害地域の旅行商品販売会社のプログラマーである主人公が砂漠のシンクホールへと向かう過程で展開される物語を書いた長編小説で、英米圏での翻訳出版以降、現地マスコミと読者から好評を得てきた。米タイム誌は「2020年8月の必読図書12冊」に推薦し、英紙ガーディアンは「気候変動と世界の資本主義の関係に改めて照明を当てる興味深いエコ・スリラー」と評した。

 『夜の旅行者たち』は韓国文学翻訳院の支援を受け、英国のプロファイルブックス出版グループ所属のインプリントであるサーペンツ・テイルから昨年出版された。翻訳者のリジー・ビューラー氏は『夜の旅行者たち』に先立ち、ユン・ゴウン氏の小説集『一人用の食卓』も翻訳し、米コロンビア大学出版部の出版を控えており、昨年ハンギョレ文学賞受賞作のソ・スジン氏の『コリアン・ティーチャー』もシンガポールのハリオット・プレスを通じて出版する予定だ。

 ユン・ゴウン氏は2008年、長編『無重力症候群』で第13回ハンギョレ文学賞を受賞。これまでに長編『夜の旅行者たち』『海賊版に乗って』と小説集『アロハ』『老いた車とヒッチハイカー』『ブルーマーブルに平壌があれば』、散文集『隙間のぬくもり』などを発表した。

チェ・ジェボン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/1001886.html韓国語原文入力:2021-07-02 11:39
訳C.M

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