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アラスカのガスパイプライン公社元幹部「韓国、750億ドル以上出す可能性も」

登録:2026-10-16 01:40 修正:2026-10-16 09:01
ブルース・タンジマン元アラスカ・ガスライン開発公社(AGDC)副社長兼最高財務責任者(CFO)=本人提供//ハンギョレ新聞社

 対米投資の中心争点となっているアラスカの液化天然ガス(LNG)開発事業について、過去に事業の財務を統括していたアラスカ州の元高官が、総事業費は750億ドル(100兆4000億ウォン)にのぼる恐れがあるとして、採算に強い疑問を呈した。米国のドナルド大統領は13日(現地時間)にも韓国による大規模投資を既成事実化し、圧力をかけ続けている。

 ブルース・タンジマン氏は、アラスカ州歳入局の副局長を務めていた2010年からアラスカのガスパイプライン事業にかかわってきた。エクソンモービル、BP、コノコフィリップスの3つのエネルギー企業と共同で事業を推進していた2014~2016年には、同事業の主務機関であるアラスカ・ガスライン開発公社(AGDC)で財務と行政を統括していた。アラスカLNG事業は、北極海沿岸のノーススロープ地域の天然ガスを、約1300キロのガスパイプラインで南部のニキスキに送り、液化したうえで韓国などのアジア諸国へ輸出する事業。トランプ政権は11月の中間選挙の激戦地となっているアラスカで、同事業を主要な経済的成果として掲げている。

「ガスパイプライン建設費、完成時には2.3倍に」

-AGDCに勤めていた時には、この事業を全面的に支持していたのか。

 「支持していた。しかし、この1年から1年半の間に懐疑的な見方が強まった。採算よりも政治の論理が先行している。『パイプラインを建設せよ(Build the line)』というバンパーステッカーまで登場している。とりあえずガスパイプラインを建設しておこうという雰囲気だ。2014~2015年にエクソンモービル、BP、コノコフィリップスと共に算定した事業費は440億ドルだった。しかし、開発会社は10年が経過してからも、しばらくは同じ事業費を提示していた。信じられない額だ」

13日(現地時間)、米国アラスカ州ワシラのカーティス・D・メナード記念スポーツセンターで行われた選挙集会で、トランプ大統領がアラスカLNG開発事業について演説している中、1人の参加者が「パイプラインを建設せよ(BUILD THE LINE)」と書かれたプラカードを手にしている=ワシラ/AP・聯合ニュース

-開発会社のグレンファーンは、今年6月に総事業費を445億~545億ドルと提示している。あなたは700億~750億ドルに達する可能性があると主張している。

 「545億ドルは安すぎる。私より長くこの事業を見守ってきた人々は、少なくとも600億ドルは必要だと考えている。私がより高い額を提示した理由の一つは、アラスカ事業と同様に長距離ガスパイプラインを建設しなければならなかったカナダのキティマットのLNG開発事業だ。コロナ禍などを経て、建設費は大きく跳ね上がった。実際に、キティマットのLNG施設にガスを供給するコースタル・ガスリンクのガスパイプライン建設費は、2018年の最初の投資決定時の62億カナダドル(約6900億円)から、パイプラインが完成した2023年には145億カナダドル(1兆6150億円)へと、約2.3倍になっていた」

-アラスカの事業は1970年代から議論されてきた。最大の障害は何か。

 「約1300キロに及ぶパイプラインを建設するのにかかる莫大な費用だ。アラスカの地形と気候も費用を押し上げる。技術的に不可能な挑戦ではないが、非常に高価な挑戦だ」

-エクソンモービル、BP、コノコフィリップスは、なぜ事業から撤退したのか。

 「3社はアラスカの膨大な天然ガス埋蔵量と需要を見て参画してきたが、事業性を検討した末、推進は困難だと判断した。2015年ごろの国際原油価格の急落も影響を及ぼした。当時の440億ドルの事業費でも採算の確保は困難だった。今は建設費がはるかに高くなっているうえ、LNG市場の環境も変化している。かつては韓国のような購入者と20~30年の長期購入契約が結べたが、現在はオーストラリアなど供給元が増えるとともに、現物市場も拡大した。巨額の事業費を調達するには、長期購入契約を通じて安定した収益を確保しなければならないが、以前より環境が厳しくなっている」

「第1段階でパイプラインを敷設しても輸出用港湾が建設できない恐れ」

-現在、事業はパイプラインを建設する第1段階と、輸出用の液化施設と港湾施設を建設する第2段階に分かれている。

 「それが最も不可解なところだ。パイプライン建設だけで200億ドル以上かかるとみられるが、第1段階のパイプライン建設の後、第2段階が遅延したり、完全に頓挫したりしたらどうなるのか。韓国は、2つの段階が財務的にどのように結び付くのか、また投資の過程でどのような負担とリスクを抱えることになるのかを綿密に検討すべきだ」

AGDCのブルース・タンジマン元副社長兼最高財務責任者(CFO)が13日(現地時間)、オンラインでハンギョレのインタビューに応じている=画面をキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 グレンファーンは事業の第1、第2段階を財務的に独立した個別の事業として推進している。第1段階はアラスカ内需向けガスパイプラインの建設を、第2段階は海外輸出施設の建設を目標としており、それぞれ個別に投資決定が必要となる。韓国などの海外投資家の資金で第1段階のガスパイプラインをまず建設したとしても、第2段階が頓挫してしまうと、アラスカは内需向けガスパイプラインを確保できる一方、海外投資家は当初期待していたLNGの輸出分および輸出利益が得られないというリスクがある。

-事業の採算を確保するためには、米連邦政府が総建設費の少なくとも90%を負担すべきだとあなたは主張されている。韓国が540億ドルを投資すれば、連邦政府の代わりを果たすという格好になるのか。

 「連邦政府であれ韓国などの外部の投資家であれ、莫大な資金の支援が必要だ。アラスカ単独では事業費は賄えない。パイプラインが通る地域の人口は約40万人に過ぎない。国内販売だけでは、数百億ドルにのぼる建設費は賄えない」

-50年以上にわたって採算をめぐって批判があるにもかかわらず、なぜアラスカはこの事業を捨てられないのか。

 「アラスカ北部には莫大な量の天然ガスがあるが、肝心の住民たちはそのガスを利用できていない。アンカレッジなどの人口が集中する地域は、長いあいだクック湾の天然ガスを利用してきた。しかし、そこのガスは供給が減っている。遠からず、韓国のようにLNGを外部から輸入しなければならなくなる可能性もある。パイプラインを建設すればアラスカのエネルギー問題は解決できる。そう住民たちは考えている。しかし、アラスカ単独ではこの事業は推進できない。財政的な支援が必要であり、生産したガスを購入してくれる海外市場も必要だ。韓国のようなパートナーが必要なのだ」

ワシントン/キム・ウォンチョル特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1282460.html韓国語原文入力:2026-10-15 05:01
訳D.K

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