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【社説】権限代行による憲法裁判官指名、撤回なければハン代行を弾劾せざるを得ない

登録:2025-04-11 09:13 修正:2025-04-11 10:08
ハン・ドクス大統領権限代行首相が8日、政府ソウル庁舎の執務室で、米国のドナルド・トランプ大統領と電話会談をおこなっている=首相室提供//ハンギョレ新聞社

 ハン・ドクス大統領権限代行首相による憲法裁判官候補の奇襲指名が、国に大きな波紋を広げている。国民によって選出された大統領に与えられている権限を、期限付きの権限代行が行使したことからして、越権であり違憲的な行為だ。そのうえ、指名したのが尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の最側近であり、内乱をほう助した疑いで捜査を受けているイ・ワンギュ法制処長であることから、「内乱の火種を残すもの」との批判を自ら招いている。ハン権限代行に憲法を守る意志があるのか疑わざるを得ない。

 この事態に対する違憲批判が拡散していることで、法的対応が行われている。昨年12月にチェ・サンモク大統領権限代行(当時)による憲法裁判官の不任命に対して憲法訴願を申し立てた法務法人トダムのキム・ジョンファン弁護士は9日、ハン権限代行の行為に対して憲法訴願審判と効力停止の仮処分を申し立てた。「内乱清算・社会大改革非常行動」もこの日、ハン権限代行とイ・ワンギュ処長をそれぞれ職権乱用罪、内乱および内乱付和随行罪で告発することを明らかにした。

 ハン権限代行は、昨年末には「憲法機関の任命を含む大統領の重大な固有の権限の行使は自制せよというのが、韓国憲法と法律に込められた一貫した精神」だとして、国会が選出した憲法裁判官の任命を拒否した。かと思えば、4カ月もたたないうちに、今度は大統領の指名枠まで自ら指名した。そして、国会の指名枠であるマ・ウンヒョク憲法裁判官をようやく任命した。自身による指名がどのような波紋を起こすかを、彼が知らないはずはない。内乱を引き起こした大統領が憲法裁判所によって罷免されるやいなや、その大統領の最側近を憲法裁判官に指名することを、どの国民が理解できるのか。憲法裁に報復でもするつもりなのか。学界からも、ハン権限代行の越権だとの指摘が相次いでいる。

 大統領選挙を無理なく運営する責任を持つハン権限代行の奇襲的な憲法裁判官指名は、ただでさえ疲れ切っている国民をさらに苦しめている。長きにわたって国の禄(ろく)を食んで公僕として働いてきたハン権限代行が、公職の最後にこのように国民を裏切ってもよいのか。いったい何を惜しんで、尹錫悦の助力者となって末永く歴史に汚名を残そうとしているのか。

 イ・ワンギュ処長はこの日、国会法制司法委員会全体会議に出席し、「憲法秩序の具現の一助となりたい」と述べ、候補を辞退する考えのないことを明確にした。厚かましい。12・3内乱後も尹前大統領を積極的に擁護した彼が「憲法秩序」に言及することそのものが、国民を愚弄するものだ。ハン権限代行は憲法裁判官候補の指名を撤回し、国民に謝罪せよ。拒否し続ければ、「内乱の同調者」として再び弾劾されることは避けられないだろう。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1191632.html韓国語原文入力:2025-04-09 18:34
訳D.K

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