内乱を首謀した疑いが持たれている尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の拘束取り消し申立てを裁判所が認容した中、このことが来週に言い渡される見通しの弾劾審判の結果にも影響を及ぼすかどうかが注目される。
裁判所は7日、拘束期間は日付単位ではなく実際の時間単位で計算するのが妥当だとして、尹大統領側が先月4日に請求していた拘束取り消しを認容した。また、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の捜査範囲には内乱罪が含まれていないという主張についても、「手続きの明確さを期すとともに、捜査過程の適法性に関する疑問の余地を解消することが望ましい」として、尹大統領側の主張を認めた。
ただ、このような裁判所の決定も憲法裁判所の進める尹大統領の弾劾審判には大きな影響を及ぼさない、との見方が支配的だ。憲法裁は当初から高度な立証が必要な刑事裁判と憲法裁判の違いを区別していることから、尹大統領の刑事裁判での拘束取り消しと弾劾審判とはあまり関係がないということだ。
西江大学法学専門大学院のイム・ジボン教授は、「尹大統領は拘束状態にあるにも関わらず弁論に自ら出席して防御権も十分に保障されている」とし、「拘束取り消しを決定した根拠は、大統領職を続けさせるかを決める弾劾審判とは関係のない別個の事案」だと指摘した。弾劾請求人である国会側の代理人の一人も、「すでに国会側は、弾劾訴追事由はそのまま維持するが、内乱罪などの刑法違反があったかどうかについての判断は求めないとの立場を表明している」として、「刑事裁判と弾劾審判に直接的なつながりはない」と主張した。
裁判所が公捜処の内乱事件に対する捜査権の問題論議に言及したことも、弾劾審判に影響を及ぼすことはない、との分析も示されている。現在までに弾劾審判に採用された証拠の中には、公捜処が作成した資料がほとんどないためだ。元憲法研究官のノ・ヒボム弁護士は、「大統領を捜査したといっても、尹大統領の非協力で有意義な捜査資料がなかったため、大きな意味はない」との見解を示す。イム教授も「弾劾審判で採用された証拠資料は、尹大統領本人ではなく共犯者に対する検察の調書が主になっている」として、「公捜処の捜査資料などは採用されておらず、憲法裁の判断を構成する共犯者の捜査記録は裁判所が問題視していないため、弾劾審判には影響を与えないだろう」と判断する。ただし、尹大統領側が今回の裁判所の決定を検察の内乱捜査権問題と内乱捜査全般の違法性という主張にまで拡大しつつ、弁論を再開すべきだとの主張を展開する可能性は高いとみられる。