ドナルド・トランプ米大統領が正式に就任する初日の20日(現地時間)、100件に及ぶ大統領令(行政命令)とその関連措置を発表すると予告したなか、市場ではこれらが金融市場に及ぼす影響に注目している。特に韓国に関連しては、この日の発表が最近高止まりしているウォン-ドル為替レートの方向性を決めるとの見通しが出ている。
iM証券のパク・サンヒョン研究員は20日、報告書で「第2次トランプ政権最初の大統領令の内容によって、トランピズムリスクとなるか、あるいはトランプハネムーンとなるかが決まるだろう」とし「これは米国国債金利、ビットコイン価格、ドル-人民元為替レート、そして原油価格などを通じて確認される」との見通しを示した。大統領令の内容によって米国はもちろん、全世界の金融、経済状況が動揺する恐れがあるという話だ。特にパク研究員は「第2次トランプ政権の大統領令の内容は短期的にウォン-ドル為替レートの流れに重要な変数となる」と述べた。
同日、トランプ大統領は就任と同時に、不法移民▽普遍的基本関税▽中国に対する関税および規制の強度▽石油および天然ガスボーリング▽仮想通貨などに対する大統領令や関連措置を発表する予定だ。その中でも大統領令第1号は、トランプ大統領の大統領選の勝利に大きな影響を及ぼしたとされる不法移民問題に関連する可能性が高い。これと関連して、不法移民者の遮断そのものよりは、どれほど多くの人々を追放するか、その規模がカギとなる。不法移民者の追放規模が雇用市場の需給および賃金に少なからぬ影響を及ぼす可能性があるためだ。大規模な追放がなされれば、労働力供給減少など雇用問題、賃金上昇問題が浮上しうる。これによって現在の米連邦準備制度理事会(FRB)の通貨政策基調も緩和(金利引き下げ)から緊縮(金利引き上げ)に変わる可能性がある。その場合、現在利下げ局面にある韓国と米国の金利差がさらに広がり、これはひいてはウォン安などを起こす恐れがある。
トランプ大統領の大統領令のうち、普遍的基本関税と対中国関税賦課は韓国が直接影響を受ける分野に挙げられる。現時点ではトランプ大統領の就任後、直ちに10~20%水準の普遍的基本関税措置が施行されるだろうという見方と、選別的・漸進的関税率引き上げを通常交渉の手段にするという見方が交錯している。普遍的基本関税の形態と強度は、韓国企業の輸出競争力に直接影響を及ぼすだけでなく、韓国の金融市場にも影響を及ぼしかねない。例えば、輸出企業の収益性悪化の憂慮、投資心理の萎縮で株価が下落する恐れがあり、これは外国人資金の流出、ひいてはウォン安につながりうる。対中国関税の場合、韓国企業に好材料として作用する余地がなくはないが、中国に中間財を輸出して完成品を米国に送る韓国企業はネガティブな影響を受けることになる。
最近、原油価格と天然ガスの価格が急騰している状況で、トランプ大統領が米国内のエネルギー開発拡大に関する大統領令を下す場合、物価と米国債金利の下方安定化に影響を与えるだろうという分析も出ている。その他、選挙運動期間中に仮想通貨に融和な発言をしたトランプ大統領が大統領令で関連の政策を実現させるかにも関心が集まる。仮想通貨の代表株であるビットコインの価格は、米大統領選挙後に上昇し、先月中旬には10万7000ドルを突破するなど、連日最高価格を更新した。最近は調整を受けたが、トランプ大統領就任を控えて再び10万ドル台を超え高騰している。