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「記録がない」と言った松野官房長官、12年前には関東大震災の「朝鮮人虐殺」認めた

登録:2023-11-11 06:31 修正:2023-11-11 07:21
松野博一官房長官=本人のソーシャルメディアのアカウントよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 「記録が見当たらない」と関東大震災における朝鮮人虐殺を否定した松野博一官房長官が、12年前の国会質疑では虐殺を認めていたことが明らかになった。野党議員時代には朝鮮人虐殺を認め、政府の報道官としてはこれを否定する二重の態度を示し、日本国会で物議を醸している。

 立憲民主党の石垣のりこ参議院議員は9日、自民党が野党だった2011年7月、松野官房長官が国会で関東大震災当時の朝鮮人虐殺を認めた発言をしたと主張した。

 石垣議員が公開した速記録によると、松野官房長官は衆議院会議で教科書検定問題について質問した際、関東大震災と関連し、「当時、朝鮮半島出身者に対する殺人事件が多数発生した。検定を受けた教科書には被害者がそれぞれ何人と記載されているか」と質疑した。

 松野官房長官は具体的な日本の文書まで取り上げ、朝鮮人犠牲者に言及した。「内務省の警保局が取りまとめた発表によると、この事件で亡くなった被害者は231名という」とし、「200名を超える被害者が流言飛語、悪質なデマなどで犠牲になったことは大変なことで、私たちはこの悲しい歴史、現実をしっかりと記憶し反省し、そして二度とこのようなことが起こらないよう努めていかなければならない」と強調した。

 だが、松野官房長官は8月末の記者会見で、関東大震災100年を迎え、朝鮮人虐殺問題に対する質問が出ると、「政府として調査した限り、政府内において事実関係を把握することのできる記録が見当たらない」と答え、虐殺をめぐる日本政府の責任を回避した。石垣議員は「松野官房長官の答弁が12年前と矛盾している」と追及した。

 これに対して松野長官は「当時の私の質問は教科書検定について教科書の内容を引用したものだ。政府見解は『裁判記録がなく、現時点から把握しようとしても困難』ということだった。当時の政府見解と私の記者会見での発言は矛盾しない」と答弁した。

 関東大震災当時、朝鮮人のように虐殺された中国人関連の資料を日本政府が保管していることも確認された。社民党の福島瑞穂議員は同日、関東大震災当時虐殺された中国人の名簿(被害調査票)と中国との交渉経過に関する報告書が公文書館に保管されているかどうかについて質疑した。これに対し、外務省担当者は「写しが外務省外交史料館に保管されている」と答えた。当時、中華民国政府が日本に中国人虐殺問題に対して抗議して外交問題に広がり、日本は関連文書を保管している。福島議員は「ちゃんと公文書としてあるのに、政府内で事実関係を把握できる記録は見当たらないという松野官房長官の発言は虚偽ではないか」と叱咤した。

 これに対し、小泉龍司法務相は「松野長官の発言は従前からの政府の見解を述べたものだ。法務大臣としても、この政府見解と同一の見解である」と述べた。

東京/キム・ソヨン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1115778.html韓国語原文入力:2023-11-10 12:09
訳H.J

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