国連など国際社会がイスラエルとイスラム武装組織ハマスに休戦を求めている中、イスラエルが次の段階の作戦に向けた空爆の強化を宣言するなど、強硬姿勢を貫いている。エジプト国境を通じたガザ地区への救護品の支援も、21日(現地時間)に1回行われた後に中断されたが、22日午後に再開された。一方、米国は拡大に備えて高高度防衛ミサイル(THAAD)を中東に配備する予定だ。
イスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官は21日、「我々は戦争の次の段階でわが軍の危険を最小限に抑えるため、今日から空爆を強化する」と述べた。また「(ガザ地区北部の中心地)ガザシティ周辺に対する攻撃を継続し、強化する」としたうえで、ガザ地区の住民たちに安全のため南に移動するよう通告した。AFP通信の報道によると、ハガリ報道官の通告後の同日夜、ガザ地区では少なくとも55人がイスラエル軍の空爆で命を失ったという。イスラエル軍のヘルジ・ハレビ参謀総長は21日夜、ゴラン歩兵連隊の指揮官たちに「我々はガザ地区に進入する」と述べ、地上軍の進入も予告した。
ガザ地区の保健省は、イスラエルの空襲が続き、22日午前まで少なくとも4741人が死亡したと発表した。イスラエル側の死者も1400人に達し、ガザ地区を統治する武装組織ハマスによる今月7日のイスラエルへの奇襲攻撃以来、2週間で戦争死亡者が6100人を超えた。双方の負傷者も2万1千人を上回っている。イスラエル軍は22日、テロリストの根拠地として使われたとして、ヨルダン川西岸のジェニンにあるアルアンサールモスクを空爆し、少なくとも4人が死亡した。ヨルダン川西岸ではこれまでに少なくとも90人の死者が発生した。
イスラエルの全面封鎖が2週間続いているガザ地区に21日、エジプト側の国境を通じて支援物資が初めて搬入されたが、翌日再び国境が封鎖された。水や食料などを積んだトラック20台が同日午前、エジプトのラファ国境検問所を通じてガザ地区に入った。ユニセフ(国連児童基金)はこれらのトラックには2万2千人が1日飲める4万4千本の飲料水と食糧などが積まれていると伝えた。
しかし、支援物資の中に燃料は含まれていない。ガザ地区の保健省は「支援物資には燃料が含まれておらず、(病院で治療を受ける)患者と負傷者の生命が依然として危険だ」と指摘した。
ラファ検問所付近には3千トンの支援物資を積んだ200台以上のトラックが待機しており、このうち17台が22日午後、さらにガザ地区に入った。国連当局者は、少なくとも毎日トラック100台分の支援物資が必要だと指摘した。
世界保健機関(WHO)など5つの国際機関は共同声明を出し、イスラエルとハマスに人道主義支援が行われるよう休戦を求めた。
一方、レバノンのシーア派武装組織ヒズボラのナンバー2のナイム・カセム氏は21日、「我々はすでに今回の戦争のど真ん中に入っている」と述べた。イスラエル軍とヒズボラの衝突が激化し、シーア派のイランまで介入すれば、イスラエルとハマスの戦争が周辺地域に拡大する恐れがある。
米国はこのような状況に備え、中東地域にTHAADの配備および兵力の増派に向けた準備に着手した。ロイド・オースティン米国防長官は21日、声明を出し「イランとその代理勢力による戦争拡大について、ジョー・バイデン大統領と詳しく話し合ったうえで、追加配備を指示した」と明らかにした。オースティン長官は、中東にTHAAD砲台1基とトパトリオット大隊の追加配備を指示したとしながらも、THAADとパトリオットがいつ、どこに配備されるかについては明らかにしなかった。米国は2021年、イラン核合意(JCPOA:包括的共同行動計画)の復元交渉を行い、サウジアラビアとクウェート、ヨルダンなどに配備されたパトリオット大隊を含む防空網を撤退させたが、今回の事態を機に中東における防空網の強化に乗り出した。オースティン長官はまた、非常対策計画の一環として「配置命令待機」状態の兵力を増やしたと明らかにしたが、規模については具体的に言及しなかった。