イスラエルのヨアブ・ガラント国防相は、今回の戦争は、現在進行中の「砲撃」(空襲)と、まもなく行われる地上軍の投入による「戦術的作戦」の後、ハマスに代わる「新たな安全保障政権を樹立」するという3段階で進められると述べた。また、ガザ地区の内部に双方の衝突を防ぐ「緩衝地帯」を作る必要があるというイスラエルの閣僚の指摘も続いた。一方で、イラク・シリア内の米軍基地が相次いで攻撃されるなど、衝突が中東全域に拡大している。
ガラント国防相は20日(現地時間)、クネセト(イスラエル議会)の外交・国防委員会に出席し、ガザ地区での戦争は3段階で進行されるとして、「ハマスを破壊するための第1段階の砲撃と、第2段階である戦術的作戦(地上軍投入)」を終わらせた後、「第3段階として新たな『安全保障政権』を樹立し、イスラエルはガザ地区に対する責任から完全に手を引く」と述べた。ガラント国防相は、前日にはガザ地区の境界地帯で待機中の兵士たちと面会し、「まもなくガザを内側から見ることになるだろう。私が約束する」と述べ、侵攻を示唆した。
アビ・ディヒター農業相は前日、イスラエルとガザ地区の間の「緩衝地帯」はガザ地区内部ではなく、イスラエル領の内側50~100メートルから始まっているとして、「これは失敗であり、修正しなければならない」と述べた。さらに、「ガザ地区の境界に沿って余裕のある空間を設け、彼らが近づけないようにしなければならない」としたうえで、「誰もイスラエルとの境界近くに行けないようにすべきだ」と述べた。
イスラエルは2005年、撤収の後にガザ地区内に緩衝地帯を設置したが、うやむやになっている状態だ。ディヒター農業相は、今後緩衝地帯の幅は「地域・軍事的な必要、イスラエル軍および入植地との距離によって」決められるべきだと付け加えた。エリ・コーヘン外相も前日、「この戦争が終われば、ハマスはもはやガザ地区に存在しないだろうし、領土も減る」と述べた。ディヒター農業相の言葉どおり、イスラエルがガザ地区内に緩衝地帯を作れば、パレスチナ側の面積は減ることになる。
イスラエルとハマスの全面衝突が長期化し、犠牲者は急増している。ハマスは19日に声明を出し、「ガザ市中心部にあるギリシャ正教会の聖ポルフィリオス教会がイスラエルの空爆で爆撃され、大きな損害を受け、犠牲者が出た」と明らかにした。ここは7日に戦争が始まった後に避難してきた住民たちの避難場所として使われていた。建物も12世紀に建てられたガザ地区で最も古い教会だった。17日には500人近くが死亡する惨事が発生したアル・アハリ病院(アラブ人民兵院)から近い場所にある。アルジャジーラは、この攻撃により教会で子どもと女性を含む8人が死亡し、数十人が負傷したと報じた。ガザ地区のパレスチナ保健省は、20日時点でイスラエルの攻撃により4137人が死亡し、1万3260人が負傷したと明らかにした。
イスラエルとハマスの戦争の余波は中東全域に拡散している。米国防総省のパトリック・ライダー報道官は19日、紅海北部を航海中だった米海軍の駆逐艦カーニーがこの日、フーシ派反乱軍が発射した地上発射型巡航ミサイル3発とドローン数機を撃墜したと明らかにした。ライダー報道官は、ミサイルが紅海に沿って北に飛行していたとして、「イスラエル内の目標に向かっていた可能性がある」と述べた。ライダー報道官は前日の8日には、イラク西部のアサド空軍基地に対してドローンとロケット攻撃が行われ、基地中で数回の爆発があり、シリアのタンフ基地もドローン2機の攻撃を受けたと述べた。