本文に移動
全体  > 経済

韓国銀行、不動産による家計債務リスクを警告…「所得水準に比べ住宅価格が高水準」

登録:2023-09-14 20:00 修正:2023-09-15 08:10
14日、ソウル市中区の韓国銀行で通貨信用政策報告書の説明会が開かれている。左から韓国銀行のイ・ジュヨン動向分析チーム長、パン・ホンギ政策企画部長、イ・サンヒョン副総裁補、ホン・ギョンシク通貨政策局長、キム・ビョングク政策協力チーム長/聯合ニュース

 韓国銀行は、住宅価格上昇への期待が拡散し家計債務が増える最近の流れに対し、強い懸念の声を上げた。所得など様々な経済基礎条件を考慮したとき、韓国の住宅価格は依然として高水準な状況で、さらなる家計債務の増加は経済・金融危機の潜在リスクを増大させるとの理由からだ。融資規制の強化に加え、住宅の供給拡大対策の必要性にも言及した。

 韓銀は14日、国会に提出した通貨信用政策報告書で「韓国の金融不均衡の累積は不動産を中心に進み、資源配分の効率性低下、不動産景気に対する経済の脆弱性など様々な悪効果を招いた」とし、「特に家計債務は主要国と異なり、デレバレッジング(縮小)なく持続的に増え続け、マクロ経済と金融安定を阻害する水準に達した」と明らかにした。金融不均衡とは、過度な負債で不動産のような資産投資に金融資源が集中し、資産バブルを誘発し、金融システムとマクロ経済全般に否定的な影響を与えうる現象をいう。

 報告書は「通貨政策は物価の安定に重点を置き緊縮的に維持されたが、マクロ健全性政策は昨年末の金融市場不安と住宅市場のハードランディングの懸念でかなり緩和された」として「今年に入って住宅市場ハードランディングの可能性は低下したが、最近の家計融資の増加規模が予想より大きくなり、金融不均衡の程度が再び累増(深化)する兆しをみせている」と診断した。韓銀が指摘する「マクロ健全性政策の緩和」の具体的な事例は、特例住宅ローンなどの政策金融拡大、融資規制の緩和、債務返済比率(DSR)適用の例外拡大などだ。韓国政府の融資政策の変化に問題があることを、韓銀が指摘したわけだ。

 特に韓銀は現在、住宅価格の評価が高水準にあると判断し、これにともない成長潜在力が損なわれることを憂慮した。韓銀のイ・サンヒョン副総裁補は、「現在の住宅市場を巡る条件をみると、上下方の要因が混在している」としながらも「ただし家計所得水準に比べ住宅価格が高く評価されていることは明らかだ」と述べた。韓銀の分析によると、今年上半期基準で韓国の家計所得に対する住宅価格の倍率は26倍(中間値)で、経済協力開発機構(OECD)の平均(11.9倍)を大きく上回っている。韓国の名目国内総生産(GDP)に対する家計債務の比率も105%(昨年末基準)で、適正水準(80~100%)より高い。

 韓銀は、通貨政策とマクロ健全性政策の緊密な組み合わせを通じた先制的対応を強調した。報告書では、マクロ健全性の規制中心の対応は、ミクロ的で選別的な対応が可能な反面、政策効果は制限的であると評価された。また、通貨政策中心の対応は、信用と資産価格などに広く効果を与えるが、実体経済に及ぼす否定的影響が大きい素地があると指摘された。二つの政策手段に長所と短所があるだけに、緊密な協力と効果的な組み合わせが必要だという趣旨だ。

 韓銀は二つの政策方向が互いに交錯したり否定的な上昇作用を起こす可能性もあるという懸念も示した。報告書は「中長期の安定成長を図るためには、金融不均衡が一定水準以下になるよう管理されなければならない」として「金融不均衡の累増に不動産が重要なメカニズムとして作用した点を考慮し、中長期を見越して一貫した関連政策を施行しなければならない」と強調した。韓国銀行のホン・ギョンシク通貨政策局長は「住宅価格の上昇期待が続かないよう、流れを変える政策対応が必要だ」として「最近、金融当局が需要の面でそうした期待に歯止めをかける対策を出したが、家計債務の増加傾向の流れが広がり続けるならば、供給の面でも住宅価格上昇の期待を捨てるための対策も考慮しなければならない」と話した。政府が最近断行した特例住宅ローンの供給制限などの措置をとっても家計債務の増加傾向が続くならば、住宅供給拡大案も出さなければならないという趣旨だ。

パク・スンビン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1108592.html韓国語原文入力:2023-09-14 18:03
訳J.S

関連記事