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「コロナ禍の3年間、北朝鮮の『超過死亡』は5万5千人」

登録:2023-08-31 06:05 修正:2023-08-31 08:28
30日、延世大学統一研究院で「北朝鮮の公共保健システムー挑戦と展望」をテーマに講演している米ハーバード大学医学部のパク・キボム教授=チャン・イェジ記者//ハンギョレ新聞社

 新型コロナウイルス感染症のパンデミック時期に北朝鮮で約5万5千人の「超過死亡」が発生したという予測が報告された。

 これは30日、延世大学統一研究院で「北朝鮮の公共保健システムー挑戦と展望」をテーマに講演した米ハーバード大学医学部のパク・キボム教授の推定。パク教授は在米韓国人医師協会の北朝鮮担当局長で、新型コロナが発生する直前の2019年11月まで北朝鮮を行き来するなど、北朝鮮に対する医療支援活動を行ってきた。

 パク教授は経済および医療システムが類似したミャンマーとカンボジアの超過死亡(伝染病や災害など予想できなかった原因により期待死亡数を超えて発生した死亡)関連統計を参考にして作った北朝鮮モデルを土台に、2020年1月~2023年4月における北朝鮮の超過死亡を5万5千人と推定した。新型コロナによる死亡者数が10万人を超えるだろうという一部の見通しに比べ少ない数値だ。

 パク教授は「オミクロン変異株が現れるまでは北朝鮮のゼロコロナ戦略がうまく作動したものとみられる」とし、「医薬品と人工呼吸器などに対する大規模な輸入指標を見る限り、医療システムが強化された側面もある」と指摘した。北朝鮮が2019~2022年に中国から輸入した薬品支出費用は着実に増え、2019年の100万ドルから昨年は9月末基準で439万ドルだという。国境封鎖など厳しい新型コロナ防疫政策を展開した北朝鮮について、パク教授は「様々な機関と(韓国)政府は北朝鮮が(外部の)支援なしには生き残ることが難しいだろうと予想したが、北朝鮮はパンデミック時期に外部の支援なしにも生き残った」と語った。

 パク教授は新型コロナ以降、北朝鮮と協力する案も模索した。北朝鮮平壌医学大学などを訪れ、北朝鮮の医療陣に会ったパク教授は「病気の前で南北は敵同士ではなかった」とし、「少なくとも医療領域だけは政治化することなく、安全保障問題と切り離してアプローチしなければならない」と強調した。

チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1106465.html韓国語原文入力:2023-08-31 02:44
訳H.J

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