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「若い時には苦労は買ってでもしろ」? 中国の若者たちの冷笑

登録:2023-07-15 09:37 修正:2023-07-15 12:25
4月に中国の重慶で開催された就職博覧会。多くの若者が参加し、仕事を探している=重慶/AFP・聯合ニュース

 中国共産党の機関紙「人民日報」が「底辺から始めよう」と訴える若者の失業に関する記事を載せたことに対し、中国のネット市民たちは現実とかけ離れた助言だとする冷淡な反応を示している。

 人民日報は10日、「正しい職業観を樹立しよう」との見出しを付けた時評で、このところ深刻な青年失業問題について若者に助言した。同紙は「大学卒業生などの若者たちに重要なのは、自分の長所と社会が必要とするものの接点を探り、平安な心を保ちつつ仕事を選択すること」だとし、「長期的な視点、現場性、実践の中で学習能力と職業能力を向上させてはじめて、就職と起業でより多くの主導権を握ることができる」と述べた。そして「青春は理想を持って奮闘しなければならない。農村振興、緑の開発、社会サービス、軍への服務など、様々な分野で青春の価値を実現できる」とし、「祖国と人民が最も必要とする場所におもむき、情熱と誠意を尽くして働けば、後悔のない青春の記憶と一生の精神的富を得ることができる」と主張した。

 この記事を読んだ中国のネット市民たちは、現実とかけ離れた「小言」だとの反応を示した。あるネット市民は中国版ツイッター「微博」で「なぜこの記事を人々は無視するのか。中国はすでに階層が固定化し、努力での突破は困難な時代になっている」、「不公正のあるところに革命がある」と記した。別のネット市民は、「この記事は嘲笑を免れない。この文章を書いた人はどんなルートで人民日報に入社したのか」とコメントした。別のネット市民は、中国の若者たちが最も好む職場である国営企業の中国煙草総公司や中国石油総公司などで「青春をささげて働きたい」と冷笑した。

 中国は5月の16~24歳の青年失業率が20.8%で史上最高値を記録するなど、青年失業問題が非常に深刻だ。今年の大学卒業者は実に1158万人で過去最多水準だが、彼らのお眼鏡にかなう良質の雇用は非常に不足している。そのため日本の「さとり世代」、韓国の「n放世代」のように家で横になって何もしようとしない若者を意味する「タンピン」という言葉が生まれている。

 仕事を求めてあふれ出す若者たちを吸収すべき中国経済は、不安な流れを示している。新型コロナウイルス禍における強力な封鎖政策により、経済成長はほぼ横ばいだった。巨大情報通信(IT)企業や私教育(塾や習い事。公教育に対する概念)企業など、若者が多く就職する企業も新入社員をほとんど採用しなかった。中国共産党は今年3月の両会(全国人民代表大会、中国人民政治協商会議)で青年失業問題を最重要の国政課題とするなど解決に努めているが、なかなか突破口が見出せずにいる。中国の海関総署(関税庁)は13日、中国の6月の輸出額は2853億ドル(約364兆ウォン)で、昨年同期に比べ実に12.4%減少したと発表している。

 これを受け中国当局は、1970年代の文化大革命期を思い出させる「農村に帰ろう」という運動を展開している。中国教育部など4省庁は昨年6月、大学卒業生の農村への就業を推奨する通知を発表している。農村で起業すれば各種の税制優遇を提供する、というのが骨子だ。

 習近平国家主席も同じメッセージを繰り返している。習主席は5月初め、中国農業大学科学技術院の学生たちに送った手紙で「みなさんが田畑と農家に深く入って働くことで国民生活を理解していると聞いてとても嬉しい」、「みなさんは手紙で、中国農村に入ってはじめて実事求是(事実にもとづく真理の探究)とは何なのか、どうすれば大衆と一つになれるのかを知ることができるとして、『苦労は買ってでもする』と言ったが、本当にそれは正しい。新時代の中国青年は当然このような精神を持つべきだ」と語っている。

北京/チェ・ヒョンジュン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1100104.html韓国語原文入力:2023-07-14 06:00
訳D.K

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