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[レビュー]この頃の中国人、「西朝鮮」と自嘲するわけ

登録:2023-06-10 09:05 修正:2023-06-10 10:35
『ふしぎな中国』 
近藤大介著、パク・ジェヨン訳|世宗刊
『ふしぎな中国』(韓国語版タイトルは『この頃の中国:「西朝鮮」から「錦鯉」まで』)近藤大介著、パク・ジェヨン訳|世宗刊|1万9000ウォン//ハンギョレ新聞社

 中国で電気自動車を「新能源車」と呼ぶが、「新能源人」とは何だろうか。中国政府は、コロナウイルスを厳格に管理する「ゼロコロナ」(動態清零)政策に固執したが、これはスマートフォンのアプリによる「健康コード」の発行と連動され、全国民を際限なく繰り返されるPCR検査と隔離のくびきに閉じ込めた。充電が必要な電気自動車のように定期的にPCR検査を受けなければならない境遇を嘆く言葉が、まさに「新能源人」だ。白い保護服を着た公務員たちは、文化大革命期の紅衛兵にたとえて、遠回しに「白衛兵」と呼ばれた。

 大衆がよく使う言葉は、時代を鏡のように照らしてくれる。中国・東アジアの専門家である日本のジャーナリストが著した『ふしぎな中国』(韓国語版タイトルは『この頃の中国:「西朝鮮」から「錦鯉」まで』)は、中国の新造語・流行語・隠語の34語を題材に、今の中国を興味深く紹介する。「『習近平新時代』と呼ばれる今ほど、中国を理解するのが難しい時代はない」という著者の言葉から、日増しに重要になってはいるが、それだけさらに遠ざかっている「この頃の中国」の現実を実感させられる。

 幸いなことに、漢字だけでなく共通点も少なくない。「習近平新時代」は、毛沢東時代を思い出しながら「初心を忘れずに」(不忘初心)と強調するが、高度化された「社会主義市場経済」のもと、金儲けや出世に無関心になった若い世代は、家で横になり寝そべり(躺平)、スマートフォンをいじる「佛系」で生きる。「N放世代」(韓国)や「さとり世代」(日本)と相通じる。政権に不利なニュースや映像がインターネットで「光の速度で削除(韓国で「ピッサク」)」されることを「秒刪」と呼ぶ。ますます全体主義化する中国を、北朝鮮に遠回しにたとえ、「西朝鮮」と自嘲したりもする。

チェ・ウォンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/1095213.html韓国語原文入力:2023-06-09 11:29
訳M.S

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