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韓国、製造業就業者数がここ2年で最大の減少…構造的減少へ回帰

登録:2023-05-11 02:28 修正:2023-05-11 07:56
釜山港の神仙台埠頭で輸出コンテナが船舶に積み込まれている/聯合ニュース

 製造業への就業者が1年前に比べ10万人近く減少し、ここ2年4カ月で最も大幅な減少となった。また、4カ月連続の減少となった。コロナ禍が呼び起こした製造業の一時的な好況が終わりを迎えたことで、「製造業雇用の構造的減少」の流れへと回帰したと評されている。

 統計庁が10日に発表した「4月の雇用動向」によれば、先月の就業者総数は2843万2千人で、昨年同月に比べて35万4千人増。宿泊・飲食店業で17万1千人、保健・社会福祉サービス業で14万8千人増え、就業者総数の増加をけん引した。しかし製造業の就業者(442万1千人)は前年同期に比べ9万7千人減り、2020年12月(11万人)より後の28カ月で最大の減少幅を記録した。

 他の業種に比べても製造業就業者の減少は目立つ。統計庁の「経済活動人口調査」で就業者200万人以上の5つの産業(製造、卸小売、保健福祉、宿泊飲食、建設)を中心に見ると、製造業就業者の減少幅が最も大きかった。同じ期間に建設業は3万1千人、卸・小売業は6万2千人の減少にとどまっている。不動産景気の後退、店舗の無人化などで雇用ショックに見舞われている産業群より、製造業就業者の方が大幅に減っているわけだ。

 最近10年間(2013~2022年)の雇用統計を見ると、製造業の就業者数は2015年に460万人でピークに達し、その後は2016年(456万6千人)から2021年(436万8千人)まで6年連続で減少。国内企業による海外現地生産などへの投資が増えたうえ、アウトソーシングへの依存度が高まったことが影響している。昨年(450万3千人)は半導体や非対面などのコロナ禍で恩恵を受けた業種の好況に力を得て13万5千人もの増となったが、今年に入って再び減少へと転じたかたちだ。

 昨年の製造業就業者数の増加への転換は、コロナ禍からの回復過程で耐久財の購入需要が高まったほか、半導体、食料品、バイオ医薬品の各製造業が久しぶりに大きな好況となったことに伴うもので、「持続可能な増加」ではなかったということが確認されつつある。

 短期的には、輸出の昨年10月以降の7カ月連続の減少が製造業へ雇用ショックとして直ちに現れている格好だ。韓国開発研究院(KDI)のハン・ヨセフ研究委員は「韓国の製造業は海外需要の影響を大きく受ける。コロナ禍中に各国の消費者がコロナ財政支援金によって耐久財を繰り上げ購入したことで、輸出経済である韓国の製造業の雇用も増えたが、今やグローバルなインフレ期と金利引き上げ期へと急激に変化しているため、そのような効果は急速に消えつつある」と語った。統計庁もこの日、半導体産業に当たる電子部品製造の就業者が大幅に減少するなど、輸出不振の影響が大きいと説明した。

 雇用市場分析の専門家たちも、産業構造の変化による製造業雇用のすう勢的減少の流れが、コロナ錯視効果でしばらく停滞していただけだと説明する。特に、米国のインフレ抑制法(IRA)が示すように、世界の主要国が自国内の生産施設確保と製造業の雇用創出を競争するように打ち出しているため、国内製造業への投資はさらに萎縮する可能性が高い。

 韓国労働研究院のキム・ユビン先任研究委員は「(最近のすう勢は)コロナ特需が終わり、製造業全般で過去の構造的な下落の流れへと回帰した現象とみるべきだ」と語った。キム委員は続けて「景気の停滞が反映されれば雇用調整が起きざるを得ない」としつつも「一度雇用ショックがあったからといって雇用を減らしてしまえば、関連産業は復活が難しい。雇用維持政策などを用いて雇用調整を最小化する必要がある」と語った。

アン・テホ、パク・チョンオ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1091274.html韓国語原文入力:2023-05-10 17:50
訳D.K

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