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尹大統領の「国務会議発言」詳しく見てみると…「歴史を『都合よく』こじつけた」

登録:2023-03-23 06:20 修正:2023-03-27 07:29
尹錫悦大統領が21日、ソウル龍山の大統領室庁舎で開かれた国務会議に出席するため、ハン・ドクス首相とともに会議場に向かっている/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が21日の国務会議で行った、「国民向け談話」を連想させる韓日首脳会談関連発言がさらなる波紋を広げている。尹大統領が対日外交政策の基調を裏付けるために言及した国内外の事例について、専門家たちは「常識的で論理的な整合性が必要だが、無理にこじつけた印象を拭えない」と評した。

 本紙の取材によると、韓国政府の強制動員解決策(第三者弁済案)と関連し、「1965年の韓日基本条約と請求権協定では、韓国政府が国民の個人請求権を一括代理して日本の支援金を受け取ることになっている」という前日の尹大統領の発言は事実と異なる。慶北大学法科大学院のキム・チャンロク教授は22日、「(当時)韓日会談の過程で、韓国人被害者個人に(支援金を)直接支給するという日本側の提案に対し、韓国側が後続措置は自国で行うという趣旨で対応した記録はあるが、基本条約と請求権協定のどこにもそのような文言はない。さらに重要なのは2018年に行われた最高裁(大法院)判決が明確に宣言したように、強制動員の慰謝料請求権は請求権協定の適用対象ではない点だ」とし、「全く関連性のない二つを結び付けた」と指摘した。

 尹大統領が中日国交正常化の過程で中国の周恩来首相が「戦争賠償要求を放棄する」と述べた点を強調したのも、論点とかけ離れた事例だ。聖公会大学のヤン・ギホ教授(日本学)は「中国は『戦争犠牲者が流した血に値段をつけることはできない』とし、日本政府を対象にした賠償権を放棄したものの、国交正常化以降30年以上にわたり、莫大な規模の円借款支援を受けた」と指摘した。さらに中国側は個人の賠償権まで放棄したわけではなかった。中国の強制動員被害者たちは日本の西松建設を相手取って損害賠償請求訴訟を起こし、2007年に日本最高裁で敗訴した。ところが、中国政府がこれに強く抗議し、中国内で反日世論が沸き上がったことで、加害企業が強制動員被害者に直接謝罪し「和解金」を支給した。

 尹大統領が「過去を乗り越えなければならない」根拠として示したドイツとフランスの「和解」も、韓日関係の現実に背を向けた発言だという批判が出ている。徹底した反省に基づいてナチスの残滓の清算に乗り出したドイツと、謝罪と反省を口にしながらも、ともすれば植民地支配の不法性まで否定する日本を一緒くたにすることはできないためだ。イ・スフン元駐日大使は「ドイツは首相が変わる度に謝罪やお詫び、反省の意を表明し、犠牲者たちのために参拝する。また『記憶・責任・未来』財団を作り天文学的な資金を費やして被害者に対する賠償と名誉回復事業などを行っている」と語った。

 イ元大使は「尹大統領が継承すると言う『金大中-小渕宣言(韓日パートナーシップ宣言)』(1998年)の核心は、日本が過去を直視し責任を認め謝罪したうえで、未来志向の韓日関係を築いていくこと」にあるとしたうえで、「今のように『過去の直視』という一軸を崩して、宣言を継承するというのは辻褄が合わない」と語った。キム・ジュンヒョン元国立外交院長は「尹大統領が自分の『決断』だと強調して対日外交政策の方向を決めておきながら、いちいち説明を続けること自体が国民的共感を得られていないことを自ら認めたもの」だと指摘した。

チョン・インファン、シン・ヒョンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1084769.html韓国語原文入力:2023-03-22 21:27
訳H.J

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