韓国裁判所が事実婚の同性夫婦を国民健康保険法上の被扶養者として認めた。同性夫婦の社会保障制度上の権利を認めた初の判決だ。
ソウル高裁行政1-3部(イ・スンハン裁判長)は21日、ソ・ソンウクさん(32)が「同性の配偶者も健康保険職場加入者の被扶養者として認めてほしい」として、国民健康保険公団を相手取って起こした訴訟で、一審を覆し原告勝訴の判決を言い渡した。
高裁は「公団が異性関係である事実婚の配偶者集団に対してのみ被扶養者の資格を認め、同性関係である同性結合相手集団(同性夫婦)に対しては被扶養者の資格を認めないことは、性的指向を理由とする差別的な待遇に当たる」と判断した。
ソさんとキム・ヨンミンさん(33)は2019年5月に結婚式を挙げ、現在まで一緒に暮らしている5年目の事実婚の同性夫婦だ。彼らは2020年5月、公団に「職場加入者のキムさんの被扶養者として同性配偶者であるソさんを登録できるかどうか」を問い合わせたところ、公団側に「事実婚関係であれば可能だ」と言われたという。キムさんは被扶養者資格取得申告をし、公団はソさんをキムさんの健康保険の被扶養者として登録した。だが、このような事実が「ハンギョレ21」の報道で知られると、公団は「処理に錯誤があった」としてソさんを地域加入者に変更した。これに対し、ソさんは公団の処分取り消しを求め、訴訟を起こした。
同訴訟で一審はソさんとキムさんが生活を共にしているという点は認めながらも、2人の事実婚関係は認められないとして原告敗訴判決を下した。婚姻は男女の結合という理由からだ。二審もやはり2人の事実婚関係そのものは認めなかった。ただし、所得や財産なしに生計を維持する人に健康保険の受給権を認める社会保障制度の趣旨からして、「性的指向だけを理由に差等をつけるのは平等の原則に反する恣意的な差別」だと判断した。
裁判所はさらに「我が国は国家人権委員会法などの司法的な関係において性的指向が差別の理由になり得ないことを明確にしている」とし、「社会保障制度を含む公法的な領域で、性的指向を理由にした差別はもはや許されない」と判示した。
同日の判決後、ソさんらは「今日、法体系の中で私たちの地位が認められた。同性夫婦にとっても平等な社会の実現を望むすべての人の勝利」だと語った。