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[寄稿]国際社会は「ロシアの中国従属化」にも関心を

登録:2023-02-21 09:56 修正:2023-02-21 12:54
19日、ウクライナ軍の兵士たちが東部ドネツク地方のアウディーイウカでロシア軍陣営に向かって曲射砲を発射している=アウディーイウカ/AP・聯合ニュース

 ウクライナ戦争に対する韓国国内の見解はやや狭い。この戦争はしばしば米国・西側とロシア・中国の両陣営が対決する新冷戦の序幕と説明されている。この戦争を米国の一方的なNATO膨張政策に対するロシアの反撃とみることもある。しかし、ウクライナを服属させようとするプーチンの帝国主義的思考が今回の戦争の重要な原因の一つだという解釈は見当たらない。この戦争はロシアの植民地拡張戦争に近い。なおかつ多くの人命を犠牲にするロシアの侵略行為は、何をもっても正当化することはできない。そのため、この戦争の影響を正確に把握するには、より広い視野と洞察が必要だ。例えば、中ロ関係は反米同盟を結成するほど堅固なのか。この戦争をロシアと中国の勢力競争という観点からも眺めることができるのか。

 最近、外交・安保・エネルギー・経済分野で協力する中ロ関係は非常に近しくみえる。しかし、中ロ関係を反米同盟とみる見方は、両国の目標と理念が異なるという点を見過ごしている。特に、長い国境で接する中ロ両国は、ロシアの伝統的な影響圏である中央アジアと東欧で勢力争いを繰り広げている。ロシアの立場からみれば、西側ではNATO、東側では中国が自国の領域に侵犯してきている形だ。NATOの拡張だけでなく、中国の浮上もロシアにとって潜在的な脅威であるわけだ。

 このため、ロシアは中国の膨張をけん制し続けてきた。中国が2014年に「一帯一路」を推進すると、ロシアは翌年、自国中心の経済共同体であるユーラシア経済連合(EAEU)を創設した。中国経済の影響から中央アジアを守ることが急務だったのだ。ロシアは中央アジアを貫く中国の鉄道建設に対しても約25年にわたり反対してきた。プーチン大統領が夢見る大国建設も、中国の拡張を阻止してこそ可能だ。ロシアは2020年に発生した中印国境紛争でも、インドにまず配慮した。また、上海協力機構(SCO)にインドを加盟させ、中国けん制に活用している。

 中国もロシアがウクライナを掌握して強国となるのを望んでいない。中国の勢力拡張が、ロシアの強いけん制を受ける恐れがあるためだ。これが、今回の戦争で中国がロシア支援に消極的である理由の一つだ。中国はロシアの2014年クリミア半島併合、2008年ジョージア侵攻も支持しなかった。これを考慮すれば、中ロ関係の性格は堅固な同盟というより、米国の独走をけん制し、各自の実利を追求するための便宜的・暫定的な協力に近い。

 一方で、一部では中ロがインド、ブラジル、南アフリカ共和国を結集して反米戦線を形成する可能性があると見込んでいる。しかし、中国とインドは領土問題で対立の根が深い。また、民主主義国家であるインド、ブラジル、南アが権威主義国家であるロシア・中国と共に反米ブロックを構築するという仮説は説得力に欠ける。むしろ中国が浮上するほどロシア、インドが危機感を抱かざるを得ない地政学的構造という点を考えなければならない。さらに、ロシア、中国の国家的課題である持続的な経済成長も、西側の市場、技術と連携しなければ不可能だ。このため、習近平とプーチンは西側経済と断絶する新冷戦は望まないと述べている。

 ロシアの侵攻から1年となる今、今後の見通しについては意見が分かれている。特に、今回の戦争で国力を消耗したロシアが崩壊するか、あるいは中国に従属するという予想もある。この場合、最大の受恵国は中国だ。すでに中国はウクライナ戦争で多くの利益を得ている。米国の制裁で西側企業が撤退したロシア内需市場を中国企業が占めている。孤立したロシアは、市場と資源を中国に安値で引き渡すしかない状況だ。このようにウクライナ戦争はロシアの中国従属化を加速させている。国際社会が中ロ関係の本質を洞察し、対応策を模索しなければならないのは、このような理由からだ。

 もし戦争が長引いてロシアが弱体化すれば、力が中国に急激に傾くことになる。中ロの勢力バランスが崩れれば、国際秩序の不確実性も大きくなるだろう。例えば、ロシア領土と中央アジア内部で紛争が発生する恐れがある。また、勢力を伸ばした中国が台湾と南シナ海でよりいっそう荒々しく行動し、米中対立が激化するとも見通される。したがって、より大きな犠牲を防ぐためには、国際社会がロシアとウクライナに出口を開き、早く終戦するよう説得しなければならない。すでに米国とロシアの水面下での交渉が行われている。ウクライナがクリミア半島とドンバス地域を譲歩し、代わりにNATO加盟に次ぐ安全保障と欧州連合(EU)加盟を得る方法を仮定することができる。このような努力が本格化すれば、戦争は長くは続かない可能性もある。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/because/1080484.html韓国語原文入力:2023-02-21 02:35
訳C.M

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