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韓国で国務委員初の弾劾訴追…イ・サンミン行政安全部長官、職務停止

登録:2023-02-09 06:23 修正:2023-02-09 08:19
イ・サンミン行政安全部長官が8日午前、大統領府迎賓館で開かれた第56回中央統合防衛会議に出席している/聯合ニュース

 イ・サンミン行政安全部長官の弾劾訴追案が8日、韓国国会で可決された。梨泰院(イテウォン)惨事発生から103日目。与党「国民の力」の反発の中、憲政史上初めて長官の弾劾案が可決され、与野党の対峙は激しさを増すものとみられる。

 国会は8日午後、本会議で共に民主党と正義党、基本所得党の野党3党が梨泰院惨事の責任を問い発議したイ長官の弾劾訴追案を無記名表決に付し、在席議員293人のうち賛成179人、反対109人、無効5人で可決した。国務委員の弾劾訴追案は、在籍議員過半数(150人)が賛成すれば可決される。国務委員の弾劾案が国会を通過したのは75年の韓国憲政史上初めて。

 国民の力の議員たちは表決には参加したが、本会議場の中で「巨大野党のスーパーパワハラ脅迫政治を中断せよ」などと書かれたプラカードを持って強く抗議した。

 弾劾訴追議決書が行安部と憲法裁判所などに送達され、イ・サンミン長官の職務上の権限は停止された。国会法第134条第2項は「任命権者は訴追された人の辞職願を受理したり、訴追された人を解任したりすることはできない」と定めており、イ長官が自ら辞任したり、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が解任することは不可能だ。これにより行安部長官の空白状況が避けられなくなった。イ長官は弾劾案可決直後に発表した立場表明文で「国民が国会に委任した権限はその趣旨に合わせて行使されなければならない」とし、「憲法裁判所の弾劾審判に誠実に臨み、早いうちに行安部が正常化できるよう最善を尽くす」と明らかにした。イ長官は対政府質問に出席するために国会内の国務委員控室で待機していたが、弾劾案が可決された直後、国会を後にした。

 憲法裁判所は最長180日間にわたり弾劾審判を行う予定だ。イ長官が災害対応の主務長官として重大な憲法・法律違反を犯したか否かが主な争点になるものとみられる。憲法裁の弾劾審判で検事の役割を果たす「訴追委員」は、国会法により国会法制司法委員長であるキム・ドウプ国民の力議員が務める。キム議員は記者団に「イ長官が大韓民国の国務委員として弾劾されるほど法と法令に違反した事由があるのかに主眼を置く」と述べた。

 与党は激しく反発した。大統領室は弾劾案の可決から20分後にメディア向けの公示を発表し、「議会主義の放棄に他ならない。議政史に恥ずかしい歴史として記録されるだろう」と述べた。国民の力のチョン・ジンソク非常対策委員長は、「憲政史に拭えない汚点を残す反憲法的暴挙であり、議会主義の破壊だ」と主張した。一方、民主党のパク・ホングン院内代表は、「尹錫悦政権は一貫して責任回避しており、国民の前に答えを出さなかった」とし、「野党3党は憲法と国会法に則って弾劾訴追案を可決した」と述べた。

 国会内の民主党院内代表室で弾劾案の可決を見守った梨泰院惨事の遺族たちは「国会が役割を果たしたくれたことに感謝する」と述べた。遺族協議会のイ・ジョンチョル代表は「大統領がイ長官を罷免していれば、このように複雑な手続きを踏まなくてもよかっただろう」とし、「憲法裁判所でどのような判断を下すかについても、遺族たちは目を見開いて見守る」と語った。

シム・ウサム、イム・ジェウ、キム・ミナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1078879.html韓国語原文入力:2023-02-09 02:42
訳H.J

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