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ミャンマー独立メディアの米国人記者、「終身刑の危機」

登録:2021-11-12 09:48 修正:2021-11-12 12:15
ダニー・フェンスターさん/AFP・聯合ニュース

 ミャンマー軍部は先月中旬、クーデター後に拘禁されていた政治犯5600人を釈放したが、米国人記者ダニー・フェンスターさん(37)は除外した。これに止まらず、9日にはフェンスターさんに扇動とテロの容疑を追加した。最大で終身刑が言い渡される可能性のある容疑だ。ミャンマー軍部と米国の力比べの真ん中に、ミャンマー独立メディアの編集長だった一人の米国人が置かれているという分析が出ている。

 フェンスターさんは、ミャンマーのクーデター軍部に拘禁され刑務所に収監されている唯一の外国人ジャーナリストだ。これに先立ちミャンマー軍部は、自国で活動する英国、米国、日本の記者を逮捕したが、1~3カ月で解放した。

 米ミシガン州のデトロイトやルイジアナなどで記者として働いたフェンスターさんは、2019年にミャンマーに渡り、メディア活動を始めた。ユダヤ系でホロコーストの生存者の子孫でもあるフェンスターさんは、2000年代半ばにシカゴで難民を助けるボランティア活動をし、ミャンマーから来た難民家族を助けることになった。彼の兄のブライアンさんは「当時の経験が、弟のフェンスターがミャンマーに行くことに影響を与えたようだ」と「ニューヨーク・タイムズ」に語った。

 フェンスターさんは最初「ミャンマー・ナウ」で記者と校閲担当として働き、その後、昨年ヤンゴンにある「フロンティア・ミャンマー」に移って編集長として働いた。いずれも英文で記事を書く独立オンラインメディアだった。両メディアともクーデターが発生した後、ミャンマーでどのようなことが起こっているのかを国外に伝えるうえで大きな役割を果たした。軍部の影響を受けない独立メディアであるうえ、記事を英文で作成するため外部へのアプローチ性が高かったからだ。フェンスターさんが編集長を務めた「フロンティア・ミャンマー」は4月に市民防衛軍(PDF)を数日間同行取材して報道するなど、ミャンマー反政府勢力の動きを深層的に伝えている。

 フェンスターさんは5月24日、デトロイトの家族に会うためにヤンゴンで旅客機に乗ろうとしたところ、空港で逮捕された。7週間前に結婚した妻のジュリアナさんと一緒だった。現在、ジュリアナさんはヤンゴンに残り、夫の釈放のために活動しているという。

 フェンスターさんが逮捕された具体的な理由は定かではない。ミャンマー軍部が、軍部に対する不満助長、不法結社、出入国法違反、テロ、扇動の5つの容疑を付け加えただけだ。彼と一緒に働いた同僚たちは、フェンスターさんが昨年「ミャンマー・ナウ」で活動していたとき、ミャンマー軍がヤンゴン市内にある軍所有の土地に3億3千万ドル規模の高級ホテルと事務所団地を日本企業とともに開発する事業に関して報道したことを逮捕の理由とみている。「ミャンマー・ナウ」の編集長のコ・スウェ・ウィンさんは、「ダニーがその記事を書いたので、逮捕リストに名前があったのだと思う。ダニーはミャンマーのニュースに関心が高く、職業に対する情熱が強かった」と話した。

 今回の追加起訴は、国連駐在米国大使を務めたビル・リチャードソン前ニューメキシコ州知事が2日、個人の資格でミャンマーを訪問し、ミン・アウン・フライン軍政最高司令官と面会してから約1週間後に出された。このため、当時の面会で米国とミャンマーの間で十分な対話がなされなかったという分析が出ている。ただ、リチャードソン前知事は面会でフェンスターさんに関する話は出なかったとメディアに明らかにしている。

チェ・ヒョンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1018935.html韓国語原文入力:2021-11-12 02:30
訳C.M

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