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産経記者裁判などに介入した判事の弾劾審判「却下」…憲法裁、退任を理由に「免罪符」

登録:2021-10-29 08:47 修正:2021-10-29 12:56
今月28日午後、ユ・ナムソク憲法裁判所長と憲法裁判官らがソウル鍾路区の憲法裁判所で開かれたイム・ソングン元部長判事の罷免を判断する弾劾審判事件の宣告公判に出席している=キム・テヒョン記者

 憲法裁判所は28日、裁判介入など司法行政権乱用行為が確認されたイム・ソングン元ソウル中央地裁刑事首席部長判事(57)に対する国会の弾劾審判請求を却下した。判事出身の裁判官6人は、イム元部長判事がすでに裁判官職を退任しているため罷免できないという理由で、裁判介入そのものに対して違憲かどうかの判断もしなかった。一方、3人の裁判官は「重大な憲法違反行為であり罷免すべきだが、退任しているためやむを得ず罷免決定を下すことができない」という意見を出した。

 憲法裁は同日午後2時、ソウル斎洞(チェドン)の憲法裁判所の大審判廷で開かれたイム元部長判事弾劾審判事件の宣告公判で、裁判官5人(却下)対3人(認容)の意見で却下を下した。

 イ・ソネ、イ・ウネ、イ・ジョンソク、イ・ヨンジン、イ・ミソン裁判官は「すでに任期満了で退職したイム元判事に対する本案の判断を下しても罷免決定を宣告することはできない。弾劾審判をする利益が認められず、却下すべきだ」と述べた。ムン・ヒョンベ裁判官は、却下かどうかを判断する必要はなく、退任と同時に審判手続きが終了したという意見を出した。これに先立ち、国会は今年2月4日、イム元部長判事に対する弾劾訴追案を憲政史上初めて可決(賛成179票)した。同月28日、釜山(プサン)高裁の部長判事だったイム元部長判事は10年の任期を満了し、再任せず退任した。イム元部長判事は、国会が自分に対する弾劾訴追を準備しはじめると、昨年5月にキム・ミョンス最高裁長官を訪ね辞表の受理を願い出た。

 一方、ユ・ナムソク(憲法裁判所長)、イ・ソクテ、キム・ギヨン裁判官は、「事実上、裁判官の人事に影響を及ぼす可能性のあるイム元部長判事の裁判介入は、重大な憲法違反行為であり、すでに退職したとしても、憲法秩序の回復と守護の次元から強力な警告と法的責任を問う必要がある。これを通じて、今後発生しうる裁判の独立侵害に対し事前に警告し、予防することができる」として、罷免要件である「重大な憲法違反行為」に該当すると判断した。3人は「これに対して何の措置も取らずに弾劾審判にまで免罪符を与えることになれば、裁判の独立侵害に対して誰も責任を負わない状況を容認することになる」と付け加えた。

 イム元部長判事は、ソウル中央地裁刑事首席部長判事だった2014~2015年、朴槿恵(パク・クネ)大統領の「セウォル号事件の7時間の行動」推測コラムで起訴された産経新聞ソウル支局長の判決文の作成などに介入した事実などが、裁判所の自主捜査と検察の捜査で明らかになった。裁判介入の疑い(職権乱用権利行使妨害)で起訴されたが、一審・二審では「裁判に介入する権限がないため、介入したとしても罪を問うことはできない」という論理で無罪を宣告された。現在、最高裁判所の審理が進行中だ。

チョン・グァンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1017052.html韓国語原文入力:2021-10-29 02:35
訳C.M

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