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[ニュース分析]G7「民主主義対権威主義」対決明らかに…中国「応戦」に乗り出す

登録:2021-06-15 07:01 修正:2021-06-15 08:17
米国のジョー・バイデン大統領が13日(現地時間)、英国コーンウォールで行われた主要7カ国首脳会議(G7サミット)を終えた後、記者会見をしている=コーンウォール/AP・聯合ニュース

 主要7カ国(G7)の首脳が、中国を狙い前例のない明確で断固としたメッセージを発した。1989年の天安門民主化運動の流血鎮圧以後では最も強硬な中国に対する声明だという評価が出ている。米国が国際舞台に全面復帰し、欧州も徐々に変わっている。今後の国際情勢は、再び「中国の選択」にかかっているとみられる。

 13日(現地時間)、英国コーンウォールで主要7カ国首脳会議(G7サミット)の閉幕とともに発表された共同声明は、中国が「主権」と「核心的利益」と規定しているほとんどすべての問題に批判的に言及した。25ページの分量の共同声明で「中国」を直接取りあげたのは合わせて4回だが、声明の各所で中国に向けられた鋭い批判が目立つ。

 まず首脳らは「中国に、新疆ウイグル(自治区)の人権と基本的な自由を尊重することと、香港返還協定および香港基本法が保証する香港の権利と自由、高度な自治を守るべき」だと促した。また、「台湾海峡の平和と安全の重要性」を強調し、「東・南シナ海で現状を変更させたり緊張を高める一方的な行為には強く反対する」と明らかにした。

 中国での現地調査を含めた新型コロナウイルスの起源に対する「二段階調査」も促した。さらに首脳らは、強制技術移転▽知識財産権の奪取▽労働・環境権の低下を通じての競争力確保▽国営企業を通じての市場歪曲行為と補助金問題などに対する対策を強化することにした。「ウォールストリート・ジャーナル」は専門家の言葉を引用し、「1989年の中国天安門事件以後にG7首脳が中国に対して行った最も鋭い発言であり、1975年にサミットが始まってから最も包括的な批判の発言として記録されるだろう」と指摘した。

 米国・英国・ドイツ・フランス・カナダ・イタリア・日本の7カ国の首脳はまた、中国の陸と海上のシルクロード構想である「一帯一路」に対抗したグローバル・インフラ投資計画である「より良い世界の再建」(B3W、Build Back Better World)構想も発足させることにした。10億回分以上の新型コロナウイルスワクチンを低所得国に寄付することにしたのも、中国の“ワクチン外交”に対抗する性格を帯びている。

 欧州連合(EU)のシャルル・ミシェル欧州理事会常任議長は、共同声明について「世界最大の民主国家の調整された立場」だと規定した。ミシェル議長は別の声明を出し、「自由民主主義と開かれた社会が、権威主義政権の圧力に直面している」とし、「この課題が、自由と法治・人権の尊重という共通の価値を伝えるために力を合わせられるようにした」と評価した。G7と中国の間の構図が「民主主義対権威主義」という理念対決の性格があるという点を明確にしたわけだ。

 このような認識は各国首脳も共有している。米国のジョー・バイデン大統領は「より良い世界の再建」構想を説明し、「民主主義が象徴する価値を代弁するだろう」と述べた。英国のボリス・ジョンソン首相も記者団に「民主的価値の重要性を言葉だけで騒ぐのではなく、世界に証明するよう示さなければならない」と強調した。

 サミット期間中に中国メディアは「欧州と米国の間の間隙」に焦点を合わせた。バイデン政権を「トランプ政権の1期目と2期目の過渡期」だとする主張まで出し、米国に対する欧州の“懸念”を浮き彫りにした。中国メディアの「観察者網」などは、共同声明が出た後にも「米国・英国・カナダ・フランスの4カ国が強硬論を主導した一方、ドイツとイタリアは『留保』の立場を示した」という点を強調した。

 にもかかわらず「歴代最高水準」の声明を出せたのは、バイデン政権発足後に変化した欧州の中国に対する認識が背景にある。実際、3月に米国とEUが強制労働などの新疆ウイグルでの人権弾圧に対し制裁を科すと、中国は欧州議会の現役議員まで制裁対象に指定し、欧州側の雰囲気が確実に変わったという評価が出ていた。

 欧州政界の現実的な変化も注目を引く。これまで「対中国慎重論」を代表し今回のサミットでも気候変動などについて「中国と協力しなければならない」と強調していたドイツのアンゲラ・メルケル首相は、9月の総選挙後に引退する。総選挙後に構成される政府で緑の党などの左派政党が発言権を持つことになれば、中国に対するドイツの態度も変わる可能性が高い。

 ポピュリズム政党である「五つ星運動」が主導した連立政権期の2019年3月に、西欧国家としては初めて「一帯一路」に公式に参加したイタリアも変化している。欧州中央銀行総裁出身のマリオ・ドラギ現首相は、代表的な「大西洋主義者」だと評価されている。彼は政権が発足して1カ月ほどが経過した3月、イタリアの通信企業のFastWebが中国の華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)と結んだ契約の履行を中止させたことがある。

 英国の「ガーディアン」は、ホワイトハウスのカート・キャンベル国家安全保障会議インド太平洋調整官の言葉を引用し、「伝統的な中国外交の特徴は、過度な行動をみせた時、『中国のソフトパワーを傷つけている』という自省の声が最高位クラスに伝達される『自浄能力』だった」と報じた。彼は「習近平主席はますますごく少数の集団に政策決定を依存しているとみられる。過去1~2年、中国に最も大きな問題を引き起こした国は、米国ではなく中国」だと主張した。

 中国はただちに“応戦”に乗り出した。駐英中国大使館側はウェブサイトに掲載した報道官声明で「新疆、香港、台湾などについて事実を歪曲し黒白を転倒させた」とし、「中国に対する陰湿な攻撃であり、中国の内政に荒々しく干渉したもの」だと非難した。続いて「中国は内政干渉や核心的利益の侵害を受け入れることはできない」とし、「国家主権と安全保障、発展利益を決然と守護し、不公正と利益の侵害には断固として反撃する」と強調した。これまでの攻勢的な外交路線を固守するという意味だ。

ワシントン、北京/ファン・ジュンボム、チョン・インファン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/china/999355.html韓国語原文入力:2021-06-15 02:09
訳M.S

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