午後5時、中央災害安全対策本部を訪問するまで、措置内容が出てこなかった
大統領府、監査院にA4用紙2枚の短い報告書のみ
新たに明らかになったセウォル号惨事当日の大統領府報告
セウォル号事故当日である4月16日、朴槿恵(パク・クネ)大統領に上げられた「書面・有線報告」内容の一部が初めて公開され、当時右往左往していた大統領府における初期対応の弱点が明らかになった。 朴大統領と大統領府は、大多数の乗客が失踪したり船内に閉じ込められている“可能性”について報告を受けていたにもかかわらず、2時間余りにわたりどんな措置を取ったのかは不明な状況だ。
イ・チュンソク新政治民主連合議員が15日、国会法制司法委員会の監査院国政監査で公開した資料によると、大統領府国家安保室はこの日午前10時52分頃、海洋警察庁から「(セウォル号付近の海上に)漂流している人を救助したケースを除き(乗客の)ほとんど全員が船内に(残って)いるようだ」という報告を受けていたことが分かった。 国家安保室は直ちに朴大統領に「まだ救助されていない人は、失踪または船内残留の可能性が高い」と報告した。 大統領への報告時刻は「(午前)10時52分から11時30分の間」とだけされている。
この資料は監査院が大統領府から受け取った確認書と、その内容に基づいて監査院がイ議員に提出した経過書だ。 セウォル号事故当日、朴大統領に報告された書面・有線報告の内容が公開されたのは今回が初めてだ。 大統領府はこれまで「大統領指定記録物」という理由で事故当日の朴大統領の動線や報告内容を公開しなかった。
「まだ救助されていない人は、失踪または船内残留の可能性」という報告を受けた後、朴大統領がどんな指示を与えたのかについて大統領府は明らかにしておらず、ただ、その後も朴大統領は書面・有線報告を受け続けたと伝えられた。「まだ救助されていない人は、失踪または船内残留の可能性」という報告内容が、当時支配的だった“全員救助”の状況を前提とした付記事項であった可能性も排除できない。だが大統領府は、当日の大統領の行跡と関連して監査院にA4用紙2枚の短い報告書を送っただけであり、監査院はこれに関する事実関係を明確に答えられていない。 野党の法制司法委員は「大統領府と監査院は何を隠そうとしているのか」と批判した。
また、監査院に提出した大統領府の報告内容を見ると、当日午後1時、大統領府秘書室と国家安保室は海洋警察庁状況室から「総救助者数が370人(犠牲者2人を含む)」という報告を受け、朴大統領に同じ内容を報告した。 誤った内容だった。 その後、午後2時30分頃には海洋警察庁状況室は救助者数が「166人(犠牲者2人を含む)」と正しく訂正された報告をしており、国家安保室は経緯把握の後に2時50分頃に朴大統領に再報告をした。
しかし、それから2時間20分後の午後5時15分に朴大統領が中央災害安全対策本部を訪問した当時、朴大統領は「高校生たちが(赤い)ライフジャケットを着ているというのに、彼らを発見するのがどうしてそんなに難しいのか?」と質問した経緯がある。 事故当日、午前10時31分にセウォル号は完全に転覆したし、午前11時18分頃には事実上沈没しており、このような内容はすでにテレビ放送を通じて全国民が全員知っているタイミングであった。 国家安保室と秘書室は朴大統領が中央災害安全対策本部を訪問する前に、もう一度「救助されなかった乗客の大部分が船に閉じ込められている可能性がある」と大統領に報告したと大統領府報告書は伝えている。 イ議員は「午後5時15分(大統領が)中央災害安全対策本部を訪問する時まで、いかなる措置も出されなかった」として「大統領府安保室と秘書室の答弁は全く信頼できないので、大統領府を対象に監査を再実施しなければならない」と話した。