「4月16日午前10時から午後5時まで」
セウォル号事故当日のこの日午前10時は、朴槿恵(パク・クネ)大統領が当時キム・ジャンス大統領府国家安保室長からセウォル号沈没に関して最初の報告(書面)を受けた時刻だ。 その時、セウォル号はすでに船体左舷がほとんど水に浸り転覆直前だった。 そして午後5時、朴大統領が大統領府からソウル世宗路(セジョンノ)にある安全行政部中央災害安全対策本部に出発する。 朴大統領は中央災害安全対策本部に到着すると「高校生たちがライフジャケットを着ているというのに、彼らの発見がなぜ難しいのか?」と尋ねる。 だが、その時刻には既に荒々しい波と潮流が転覆したセウォル号を取り巻き、潜水士でさえ船体に進入できなかった時だった。 その後に救助された乗客はただの1人もいない。
遺族や野党が大統領府に「朴大統領の7時間の行跡」を要求することになった契機は、このように朴大統領が救助現況や現場事情についての情報を全く把握していないような対応をしたためだ。 大統領は事故に関する報告をまともに受けていたのか、その日、朴大統領をはじめとする大統領府参謀はいったいどのような対処をしていたのか、疑問を抱いて当然だった。 大統領への誤った報告が続き、そのために対応が遅れたとすれば、これを公開して責任の所在を明らかにしなければならない事案でもある。
だが、大統領府は国民が知らなければならない、そしてそのために言論が当然に要求できる基本的な情報すら公開していない。 むしろ当初の本質とは異なるとんでもない疑惑が拡大再生産されることを放置した。 その結果「朴大統領の7時間」は与野党政界の論議を越えて、外国のマスコミまでが大統領府と争う素材になってしまった。
大統領府は今になっても事故当日である4月16日の大統領の動線や細部業務内容を公開しろという要請に「大統領指定記録物なので公開できない」という態度を維持している。 緑色党などの政党やマスコミの情報公開請求にも同様な趣旨の返答で公開を拒否している。
これに対し『ハンギョレ』と「参与連帯」は、今月8日セヌリ党チョ・ウォンジン議員が大統領府から提出させ公開した朴大統領のセウォル号関連業務現況に基づき「セウォル号事故当時の大統領に対する報告および大統領の措置事項関連情報公開」を請求した。 国家安保室長と安保室、政務首席室などを通して計14回にわたりなされた書面報告に関連しては、各文書の登録番号とその全体の公開を要求し、文書が破棄されている場合に備えて破棄および紛失の有無、その時点および理由などを請求した。
今後、ハンギョレと参与連帯は大統領府が非公開決定を下せば行政訴訟を提起する方針だ。 参与連帯公益法センターのチョン・ミニョン弁護士は「大統領府はセウォル号事件と関連してどんな報告を受け、どのように対処したのかについて今も明確に説明していない。 今回公開を請求した内容が情報公開法9条1項の非公開理由に該当すると見るに足る事情がないばかりか、公開を通じて当時の大統領府の対応が適切だったかを判断できるという点で公益性が大きい」と明らかにした。