第20代大統領選挙の過程で虚偽事実を公表したとして一審で当選無効刑を言い渡された尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領が、控訴審でも一審と同様に執行猶予付きの懲役刑を言い渡された。最高裁で刑が確定すれば、史上初めて大統領当選が無効となり、尹大統領候補を推薦した「国民の力」は大統領選で補填を受けた選挙費用397億ウォン(約47億円)を返還しなければならない。うそと言い訳で一貫してきた尹前大統領だけでなく、かばい立てて擁護することに奔走してきた国民の力も、国民の前で反省すべきだ。
ソウル高等裁判所刑事2-1部(ペク・スンヨプ裁判長)は4日、公職選挙法違反の疑いで起訴された尹前大統領の控訴審で、被告人の控訴を棄却し、一審で言い渡された懲役1年6カ月、執行猶予3年を維持した。同高裁は一審と同様、起訴事実をいずれも有罪と認めた。「(最高検察庁中央捜査部出身の)L弁護士をユン・ウジン元龍山税務署長に紹介した事実はない」という趣旨の発言と、「(コンジン法師こと)チョン・ソンベ氏を党関係者から紹介され、妻のキム・ゴンヒ氏と共に会ったことはない」という趣旨の発言が、いずれも虚偽事実の公表に当たると判断したのだ。同高裁は被告人尹錫悦の控訴理由に一つひとつ反論し、「罪質が軽くなく、非難の可能性が高い」と厳しく批判した。
ユン・ウジン元龍山税務署長は、尹前大統領と親しい関係にあったユン・デジン元法務部検察局長の実兄で、収賄容疑で警察の捜査を受けたものの、検察が起訴しなかったため法の網を逃れるなど、検察の組織的な庇護(ひご)を受けていた人物だ。尹前大統領は、ユン元税務署長との親交は認めつつも、事件受任のために弁護士を紹介したわけではないと主張したが、同高裁はこれを認めなかった。尹前大統領が2012年の「ニュース打破」のハン・サンジン記者とのインタビューで、弁護士を紹介したことを認める趣旨の発言を行うなど、明白な証拠が存在するからだ。チョン・ソンベ氏の場合、キム・ゴンヒ氏の紹介で以前から知っており、政治的助言を受けるほど親しい関係にあったが、巫俗に心酔していたという疑惑を大統領選時に否定するため、虚偽事実を積極的に公表したと同高裁は判断した。
この日、国民の力のパク・チュングォン首席報道担当は、最高裁が破棄差し戻しを行い、ソウル高裁で係争中の李在明大統領の公職選挙法違反の裁判を直ちに再開すべきだと主張した。自分たちが選挙補填金の返還を迫られそうだからといって、憲法に則って裁判が停止されている現職大統領の事件を持ち出すというごり押しをする前に、内乱首謀者との絶縁をはっきりと宣言することこそ、国民に対する道理であるはずだ。