ブラジル大統領選で現職のルラ大統領が勝利したのは番狂わせだった。ルラ氏は第1回投票で、ジャイール・ボルソナロ前大統領の息子であるフラビオ・ボルソナロ上院議員に敗れ、2位にとどまっていた。ブラジルの直接選挙による民主主義の歴史上、第1回投票での劣勢を覆し、決選投票で勝利した人物は誰もいなかった。ところが、ルラ氏はあらゆる予想を覆した。
ルラ氏は最近のラテンアメリカにおける選挙の潮流にも逆らった。過去18カ月間、チリやコロンビア、ペルーを含む7カ国で右派候補が勝利を収めた。世界的な傾向もこれと類似している。ドイツでは地方選挙で極右が勝利し、フランスではマリーヌ・ルペン氏率いる極右政党が世論調査で1位を走っている。ロシア、インド、フィリピンでは、極右の指導者たちが権力の座に留まっている。
選挙で極右に拒絶を示したのはブラジルだけではない。ブラジル大統領選と同じ日に行われたセルビア総選挙でも、驚くべきことに学生たちが長期政権を築いてきた指導者を追い出すことに成功した。今年初めには、ハンガリーのオルバン首相もまた、野党に敗北した。米中間選挙で予想されるトランプ大統領に対する「ブルーウェーブ」(民主党の圧勝)も、こうした流れを引き継ぐものとみられる。
民主主義社会の有権者には、「現政権を審判しよう」という自然な感情が存在する。特にソーシャルメディア環境の中で、有権者は全面的な変化を約束する候補者に肯定的な反応を示す。それゆえ、政治的な振り子は左から右へ、そして再び反対方向に揺れ動く。
しかし、極右は政治的なメニューに並ぶありふれた選択肢の一つではない。彼らが提示するのは根本的に異なるものであり、自分たちが権力を獲得した基盤である民主主義のルールそのものを破壊しようとしているからだ。右派の権威主義者たちは、選挙、憲法改正、司法への挑戦といった民主的な手段を用いて、民主主義を弱体化させてきた。はるかに過激な方法で民主主義を廃棄しようと試みたこともある。4年前にルラ大統領が勝利を収めた大統領選挙の結果を覆そうと陰謀を企てたジャイール・ボルソナロ前大統領が代表的な事例だ。そしてトランプ大統領の例もある。
トランプ大統領の支持率は現在、大統領在任中最低となる31%を記録している。迫る中間選挙で、有権者たちはトランプ大統領の政党(共和党)に審判を下す構えだ。ブラジルとは異なり、米国の有権者は自身の経済状況を最優先にする。トランプ大統領を二度当選させたことからも明らかなように、多くの米国有権者は、その反民主的な言動についてはあまり気にしていないようだ。
極右の個別の勝利よりもさらに痛ましい教訓は、まさにこれだ。有権者が反民主的な候補に目を向ける理由の一つは、民主主義そのものに幻滅を感じたからだ。民主的なメカニズムは、現在地球が直面している脅威を解決するには力不足のように見える。もし民主主義勢力がこうした問題を解決する能力に優れていれば、今のように上から押し付けるような解決策や、神話のように美化された過去への回帰を約束する極右の主張が、これほど魅力的に聞こえることはなかっただろう。
民主主義が直面しているより深刻な問題は、昨日ブラジルで敗北し、明日米国で敗北したとしても、極右勢力が素直に引き下がらないことにある。民主的な制度が成果を上げられず、民主的な価値が魅力を失えば、有権者はますます権威主義的な選択肢へと進み続けるだろう。
極右勢力だからといって、世界の問題に対してより良い解決策を提示しているわけではない。グローバルな脅威に対する彼らの全体的な対応は、背を向けてしまうことだ。彼らは新自由主義的な貿易政策や環境に優しいエネルギープログラム、合理的な移民政策を一括して非難し、あらゆる形のグローバル化を拒否する。極右が民主主義を嫌悪するのは、これもまた、彼らが反対するグローバル化の一部とみなしているからだ。したがって、左派と中道派の双方にとって重要な課題は、次世代のために地球を守ると同時に、大衆に実質的な恩恵をもたらす、新しく力強い国際主義を作り上げることだ。