原文入力:2011/10/21 20:42(1471字)
イ・ヒョンソプ記者
動画公開‘射殺ミステリー’
過渡委 "救急車移送中に交戦"
一角では "警護員が撃った"
死んで利益を得る側は西側
カダフィを撃った銃の引き金は果たして誰が、なぜ引いたのか。 20日朝(現地時間)最後の抵抗拠点だったシルトの陥落と同時に亡くなったリビアの前国家指導者ムアマル・カダフィが初期には負傷したが正常に生きていた動画が公開され、彼の死に至る過程に対するミステリーが深まっている。生け捕りにされたとすれば、彼は国際刑事裁判所の法廷に立つところだった。
アラブ衛星放送<アルジャジーラ>は証人たちの話を総合し、彼の逮捕当時を再構成した。カダフィはこの日、15台ほどの武装護送車両と共にシルト西方に脱出を試みた。その行列を発見したフランス戦闘機は爆撃を加え、車両を全て爆破した。カダフィはかろうじて生き残り数人の護衛隊とともに高速道路付近にある排水管の下に隠れた。過渡国家評議会(NTC)軍は排水管前で交戦を繰り広げ、カダフィの護衛隊を全員射殺した後に彼を捕らえた。
問題は生け捕り以後だ。誰かが携帯電話で撮影し公開した動画ではカダフィは頭から血を流していたが助けを受けて歩くことができる程度であった。この動画の中でカダフィを取り囲んだ過渡政府軍は歓呼の声を上げながら彼を暴行水準に殴り‘戦利品’のように引っ張っていった。また他のビデオではカダフィが引きずられて行く渦中に誰かが「彼を殺すな、彼を殺すな」と大声を張り上げ、まもなく銃声が聞こえる。そしてカメラは突然方向を変えた。
過渡国家評議会マムード ジブリル総理はこの日、カダフィを救急車に乗せミスラタへ移動したが隠れていたカダフィ親衛軍と交戦が行われ、交戦中にカダフィが頭を銃で撃たれ死亡したと公式発表した。彼は 「法医学者が調査した結果、彼を殺した弾丸がカダフィ軍のものなのか過渡政府軍のものなのかは確認できなかった」と付け加えた。
だが<ロイター>通信はまた別の評議会関係者の話を引用し「過渡政府軍がカダフィを捕らえたが、彼を連行する間にカダフィを殴打し彼を殺した」と異なる証言を出したと伝えた。交戦に参加したある過渡政府軍は「(生け捕りされないように)カダフィの警護員の1人がカダフィの胸に銃を撃った」と主張しもした。
交錯する主張の中で明らかな点は、カダフィが生け捕りされずに死ぬことによって利益を得る当事者がいるという事実だ。英国<ガーディアン>はカダフィが生きて裁判を受けたとすれば、リビア内で親カダフィ反乱が起きかねないという専門家の話を引用し、彼の死が過渡政府の政治的負担を大きく減らしたと分析した。また、これ以上失うものがないカダフィが自分たちとの闇取り引きを無差別暴露するかと思い気を揉んでいたヨーロッパ国家と大型石油企業らも安堵のため息を吐いただろうと付け加えた。
カダフィの遺体はこの日ミスラタのある寺院に移され一般に公開された。上着がめくれたまま床に置かれた独裁者の死体写真を撮るためミスラタの人々が長く列を作ったと米国<CBS>は伝えた。<ロイター>通信はカダフィの遺体がまもなく秘密の場所に埋蔵されると報道した。
イ・ヒョンソプ記者 sublee@hani.co.kr
原文: 訳J.S