原文入力:2011/10/17 21:07 | 原文修正:2011/10/17 22:26(2381字)
クォン・テホ記者、イ・ジョンエ記者
国内総生産増加したスペイン若者 2人に1人は失業者
アメリカ貧富格差程度、ガーナ・ニカラグアと同水準に下落
←全世界82ヶ国で「99%」の同時デモが行われた15日(現地時間)、米アラスカ州ベテルのツンドラ地帯で1人デモが行われた。ダイアン・マクイーチャン アラスカ州立大教授は、「私は99%、ツンドラを占拠せよ」と書かれたプラカードを持ち、犬3匹とともにデモを行った写真を、自身のフェイスブックにのせた。ダイアン・マクイーチャン フェイスブック
#4日(現地時間)、スペイン、マドリードのコンプルテンセ大学内のある講義室。文学の授業受講生28人に、イギリスBBC放送の記者が質問を投げかけた。「来年、卒業してすぐに仕事を見つけられる自信のある人?」。手をあげる学生は1人もいなかった。質問を変えた。「どんな職業でも大丈夫だから、とにかく働き口を得られるという人は?」。その時、初めて躊躇しながらも何人が手をあげた。「それでは、望む仕事を探そうとするならば、この国を出て行かなければならないという人は?」。大部分がパッと手をあげた。
#15日(現地時間)、アメリカ、ニューヨークのリバティープラザ公園(旧:ズコッティ公園)。 週末には、ここに学生や失業者だけでなく、現在、職に就いている人たちまで出てきて、プラカードを持ってデモに参加する。夫と一緒にやって来たエリカ・マロイ(40)は、「家も、車も、仕事もあるが、とても不安だ」として、「月給は何年目も据え置きなのに、物価は絶えず上がり、いつ失業者になるか分からない。とても怖い」と話した。
スペインとアメリカはもう「貧しくなった先進国」の代名詞だ。
もちろん国が貧しくなるのではない。スペインの2010年の国内総生産(GDP)は1兆4778億ドルで、好況期だった2006年に比べても若干増加したし、アメリカは相変らず世界第1位の経済大国だ。貧しくなるのは「99%」に象徴される大多数の国民だ。経済協力開発機構(OECD)34ヶ国中スペインは失業率第1位で、アメリカはチリ・イスラエル・メキシコに続き貧困率(1ヶ月の所得が最低生計費に満たない家庭の割合) 第4位を占めている。今月15日、全世界同時デモの出発点と起爆剤がスペインの青年たちのテントデモと、アメリカの「ウォール街を占拠せよ」デモであったのは、当然の結果かもしれない。
崩れたのは、瞬く間にであった。スペインが2003~2006年、ユーロゾーン(ユーロ貨幣使用17ヶ国)での雇用創出の半分を占め、好況を享受した当時には、イタリア・カナダの代わりに主要7ヶ国(G7)に入らなければならないという主張も出ていた。しかし、2008年金融危機は「不動産バブル」への直撃弾だった。海岸周辺には工事を取りやめた建物が立ち並び、68万7000軒ほどの新居は、今でも入居者を探せずにいる。
建設景気の崩壊は、民間部門と公共分野の雇用縮小につながった。その結果、2007年18%に過ぎなかった16~25才失業率は、先月46.2%(全体失業率21.2%)にまで跳ね上がり、チュニジア・エジプトより高くなった。
泣きっ面に蜂で、今年の初め、ギリシャのデフォルト(債務償還不履行)危機の渦中に、債務危機の伝播を憂慮する政府は、各種福祉の恩恵を大幅縮小して公共部門の整理解雇に出た。かつては価格表示がなかったスペインのレストランのメニューに価格表が登場するほど、消費者は財布を閉じたし、交易相手国の成長の勢いも鈍化して、内外で行き詰った。このような悪循環の中で、かつては「政治無関心世代」と呼ばれた若者たちが「怒った人々」(ロス インディグナドス Los indignados)という名前で広場に出てきたのだ。
アメリカでは貧困率増加とともに、中産層崩壊問題が全社会的問題となっている。大恐慌など深刻な経済危機が発生した時、最大の被害者である貧困層や疎外階層が生存権を根拠に抵抗や闘争を行ったりしたが、最近のウォール街デモのように、中産層が大挙出たケースは、歴史的に殆どなかった。
昨年、アメリカの中間家計所得は4万9445ドルで、1999年以後、初めて5万ドルを切った。最も直接的な理由は、雇用不安のためだ。過去10年間、アメリカの商品とサービスの生産は19%増加し、非金融部門企業の収益も85%増えた。しかし、民間部門の雇用は200万も減り、アメリカの成人の就職率は58.2%で、1983年以後最も低い。自動化、非正規職拡大、生産工場の海外移転などは、企業には経費削減による収益性拡大をもたらしたが、「雇用ない成長」の固定化が生じた。
その結果、米国は上位1%が所得の23%を占める奇形的社会になった。米国の貧富の格差の水準は、ガーナ、ニカラグア、トルクメニスタンと同水準だ。ジェイコブ・ハッカー教授(エール大)とポール・ピアソン教授(カリフォルニア大学バークレー校)は、共著「勝者独り占めの政治:ワシントンがどのように金持ちをさらに裕福にさせたのか?」[Winner-Take-All Politics: How Washington Made the Rich Richer--and Turned Its Back on the Middle Class …訳注]で、「経済成長の成果が「スーパーリーチ」(金持ち中の金持ち)にますます集中し、経済的中産層の地位はますます低下している」として、富裕層エリートが主導した数十年間の脱規制、労働運動抑圧、勤労所得よりも金融・投資所得への価値付与などの強化が原因だと目星をつけた。
ニューヨーク/クォン・テホ特派員、イ・ジョンエ記者 ho@hani.co.kr
原文:https://www.hani.co.kr/arti/international/globaleconomy/501200.html 訳 M.S