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国境越えた自発性・共感… "変化はすでに始まった"

原文入力:2011/10/16 22:52(2038字)
クォン・テホ記者


曖昧な目標 指摘にも関わらず全世界に怒り拡散
直接民主主義実現し‘漸進的変革’夢見て
"シアトル デモは一時的…今は外縁に拡張中"


←‘みな一緒に占領せよ’15日、世界主要都市デモ現況(※イメージをクリックすれば大きく見ることができます)


スペインのテント デモなどに影響を受け先月から米国、ニューヨーク リバティープラザ公園(ズコッティ公園)で始まった‘ウォール街を占領せと’デモがわずか一ヶ月余りで全世界に広がった。今年初め、アラブ国家で起きた民主化革命‘アラブの春’になぞらえて‘米国の秋’と呼ばれるようになった‘ウォール街占領’デモは今や米国国境を抜け出し全世界的イシューに拡張されている。

‘ウォール街デモ’は‘アラブの春’はもちろん過去どのデモにも見られない幾つかの特徴を持っている。


まず一つの主題を巡り市民のデモが流行病のように全世界へ急速に拡張される様相は歴史上今回がほとんど初めてだ。 世界化の影響でそれだけ世界が狭くなったためでもあるが‘1% 対 99%’という貧富格差の深化に対する共感と怒りが全世界的現象であることを反映している。


‘ウォール街デモ’の最も大きな特徴は指導者がいなく、直接民主主義による意志決定構造だ。これは‘インターネット広場’文化が実現した結果と思われる。 リバティープラザ デモ隊の実務グループの一員であるブラック フェザー(19・大学生)は「デモ隊の中にリーダーシップと階級序列がないということが私たちが持つ最も大きな力」とし「これが意志決定を遅くし、何も決定できないように見られるが、むしろ誰もが参加できるようにする。全世界に急速に広がった重要な理由の一つ」と主張した。


金融資本主義と貧富格差の拡大に対する不満で始まった‘ウォール街デモ’の外形は平和的運動という点でも注目をあびている。 これは開発途上国で主に起きる民主化革命との最も大きな差を現わす点でもある。‘ウォール街デモ’は最大限に合法の枠を抜け出そうとしない。 デモをする時は数千名が行進をしても警察阻止線(ポリスライン)内側の歩道を抜け出さず、リバティープラザの衛生悪化を理由に強制退去を要求されればすぐに自ら大掃除を行い妥協を試みた。また「金持ちらを獲って食べよう」、「銀行を強奪せよ」等の一部スローガンは非常に過激だが話の上でだけであり、彼らの抵抗はピザの紙箱にスローガンを書いて打ち振り、「金持ち増税」、「ウォール街規制」等の主張を叫び行進することが全て。


そのために命を賭けなければならなかった‘アラブの春’に比べて悲壮感や切迫感が劣るのではないかという指摘も一部にはある。 だが、15日のデモに参加したマディハ タヒール(31・コロンビア大博士課程)は「平和デモが外縁をより一層拡張することができた」として「子供たちを連れてデモに参加する大人たちがぐんぐん増えたのも平和デモが持つ力」と評価した。 <怒れ!>の著者ステファン エセルも最近米国マスコミとのインタビューでこういう平和デモの力に対し高い評価を下した。


米国の多くの政治・社会学者は‘ウォール街デモ’に対して「いつか消滅するだろうが、米国政界に相当な影響力を及ぼす変化をもたらすだろう」と見ている。デモ隊は‘革命’というスローガンをしばしば口にしているが、この時の‘革命’とは‘急進的な体制転覆’性格を持つ一般的な意味よりは、むしろ‘漸進的変革’側に焦点が合わされている。


反世界化活動家のナオミ クラインは今回のデモを1999年シアトルで触発された反世界化デモと比較して「当時は世界貿易機構(WTO),国際通貨基金(IMF),主要8ヶ国(G8)等が主催した首脳会議を目標にしたが、それは一時的だった」として「また、経済が好景気であった当時より深刻な景気低迷に陥っている今が変革のためにはより良い時期」と話した。イマニュエル ウォーラースティン エール大客員教授は最近コラムを通じて‘ウォール街デモ’に対して「1968年蜂起以後、米国で起きた最も重要な政治的事件」とし「デモはすでに成功したし今後永くその遺産を残すだろう」と見通した。


キム・ホギ延世大教授(社会学)は「今は新自由主義からポスト新自由主義過程へ移るところだが、2008年金融危機以後の不確かなポスト体制の中で政治的主導者がまともに対応できないために市民の自発的対応が出てきた」とし「自発性に基づいたこういう形態の運動は間歇的だが持続的に行われるだろう」と指摘した。

ニューヨーク/クォン・テホ特派員、ユ・ソンヒ記者 ho@hani.co.kr


原文: https://www.hani.co.kr/arti/international/america/500970.html 訳J.S