原文入力:2011/08/11 22:29(1724字)
イ・ジョンエ 記者
イギリス暴動で末っ子を失った父親の呼び掛け
人種葛藤悲話「自制」要求
追慕現場平和祈願行列
←タリク・ジャハン(45)が10日(現地時間)、イギリス・バーミンガムで、暴徒から商店を守り、突進してきた自動車に轢かれ命を失った息子のハローンの幼い時の写真を持ち、若者たちに、暴動を中断して家へ帰ることを訴えている。バーミンガム/AP・ニューシス
「私はたった今、息子を失いました。しかし、黒人もアジア人も白人も、私たちは同じ地域社会で一緒に暮らしています。なぜ、お互い、殺し合わなければならないのですか? なぜ、私たちは、こういう問題を引き起こすのですか? 自分の息子が死んでも構わないと考える人は、直ちに前に出てきて下さい。そうでないのならば、今すぐ落ち着いて、家へ帰りましょう。お願いです」
イギリスで吹き荒れている暴動の渦中、暴徒の手により、値千金の末息子を失った父親だった。しかし、タリク・ジャハン(45)は、「復讐」の代わりに、若者たちに暴動の中断を訴えたと『ガーディアン』などイギリスのマスコミが11日(現地時間)、伝えた。
彼の息子のハローン(21)は、暴徒たちから町内を守ると家を出て、10日翌1時、バーミンガム市ウィンソン・グリーンのダドリー・ロードのガソリンスタ
ンドで、突進してきた自動車に轢かれ亡くなった。自動車整備工の仕事をして、ボクシング選手になりたかった優しい息子だった。すぐに近所でニュースを聞いた父親は現場に走って行き、顔と手を血まみれにして心肺蘇生術をしたが、息子はついに目を開くことができなかった。共にむごたらしい事態に直面したシャザット・アリ(30)、アブデュル・ムサビル(31)兄弟も命を失った。
三人はみな南アジア系ムスリムで、ひき逃げ殺人容疑者として捕まったのは、32才黒人青年だった。この事実が伝わり、町内ではすでに、「報復」せねばならないとの声が高まっている。事故現場から100m離れた所に住むというアミール・ハウィード(20)は、AP通信とのインタビューで、「この黒人どもを捜し出
し、頭を割って、犬の餌にせねばならない」と声を高めた。
人口100万人の都市バーミンガムでは、多様な皮膚の色と互いに異なる宗教を持つ人々が混ざり合って生活しているため、人種対立がたびたび発生してきた。
2005年、パキスタン出身のギャングが、ジャマイカ出身の14才少女を性暴行したという根拠のない噂が広がり、2日の間、カリブ海出身の黒人らとアジア系の間に流血騒動が生じたのが、その代表的事例だ。1980~90年代にも、白人警察の人種差別問題とアジア系の商店急増に対する黒人らの怒りで、暴動が発生することもあった。
町の人々数百人を前に、タリク・ジャハンが立ち上がったのも、今回の事態が人種対立に飛び火して、自身のように息子を失う悲しみを体験する人々が現れるのを防がねばならないとの考えのためだった。彼は「他のバーミンガム住民たちのように、私の心配も、今回の事態がより大きな社会の不信と壁を作る導火線になること」と話した。彼は「(息子の死以後)人種と宗教、出身と関係なく、多様な地域社会の構成員たちから慰労と支持のメッセージを受けた」として「今回の事態は、人種問題とは関係がない」と強調した。
タリク・ジャハンの呼び掛けに、人々も動いている。ハルーンたちが亡くなった現場には、追悼のロウソクのあかりと平和を祈る花を持って人々が出てきている。ろうそく集会を準備したハプリート・シンはBBC放送で、「多くの人々の家族がケガをした。この暴動を止めないならば、さらに多くの人々が死んでいく
ことになる」として「暴動を中断して、共に団結せねばならない時だ」と話した。
イ・ジョンエ記者 hongbyul@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/international/europe/491459.html 訳M.S