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インラック、タクシンを背負い総選挙勝利…レッドシャツ‘親庶民’に熱狂

原文入力:2011/07/03 23:20(3021字)
イ・ヒョンソプ記者

[タイ総選挙] プアタイ党(タイ貢献党) 過半議席 越える

←先月27日(現地時間)タイの首都バンコクで3日に行われる早期総選挙を控え開かれた第1野党のプアタイ党遊説場で、インラック シナワトラ(43)候補を支持する市民が選挙広報物を掲げている。 【バンコク(タイ)=AP/ニューシス】

執権民主党敗北 認める
出口調査で313席集計
流血衝突14ヶ月ぶりに圧倒的支持で既得権審判
"タクシン腐敗には関心がない"
3日に行われたタイ総選挙で亡命中のタクシン・シナワトラ前総理を支持するプアタイ党が勝利した。タクシンの代わりにプアタイ党を率いた妹のインラック シナワトラがタイ史上初の女性総理として政局を導くことになった。

92%が開票されたこの日夜8時半現在(現地時間),選管委の中間開票結果によれば、プアタイ党は総議席 500席の内、過半数の260席をすでに占めた。反面、与党の民主党は163席に留まっている。これに先立つ出口調査ではプアタイ党が過半数を軽く越える313席を占めるだろうと調査された。

民主党党首のアピシット総理は開票が進行中のこの日夜、党本部で支持者らに「結果は明確だ」とし「プアタイ党が選挙で勝利し、民主党が敗北した」と敗北を認めた。

今回の選挙は結局‘タクシンに対する選挙’であった。昨年5月流血鎮圧で終わりはしたが、タクシン支持者の‘レッドシャツ’の激烈な都心示威が現政権から実施の約束を引き出した早期総選挙であることに加え、タクシン前総理の‘アバタ’と呼ばれる妹インラック シナワトラが新しいタクシン政党の指導者として選挙をリードしたためだ。クーデターと腐敗疑惑裁判などで権力の座から追放されたタクシンは今回の選挙を通じて再び政治復権を果たした。彼は2001年以後に行われた5回の選挙で自身を支持する政党が全て勝利する威力を示した。

ドバイに亡命中のタクシンはこの日、米国公営放送<PBS>とのインタビューで「国民は平和的方法で変化を望んだ」として「政治報復はせず皆を許す準備ができた」と話した。彼は来る12月の娘の結婚式に合わせ帰国するものと予測される。

華僑出身の財閥だった彼は依然としてタイの都市貧民と農民から圧倒的な支持を得ている。タクシンは在任途中、農村と都市貧民のための破格的な政策を多く出したし、それはエリートらにはポピュリズム的な‘タクシノミクス’という皮肉を聞きながらも、数多くのレッドシャツを量産した。彼が2006年のクーデターで退いた後、貧民層の相対的剥奪感は深刻化されてきた。昨年タイの国民総生産(GDP)は7.6%も成長したが低所得層の所得はほとんど増えず、むしろ高まる物価上昇率で苦痛だけを受けている状態だ。

タクシンに対する貧民たちの支持は、タイ北部農村に住んでいるナイチュ カマラ(63)の話に凝縮されている。彼は英国<ガーディアン>に「私はタクシンが腐敗していたか否かには関心がない。タイの政治家たちは全て腐敗しているため」としつつ「そのすべての腐敗した政治家の中で、私たちにお金をくれたのはタクシンだけ」と話した。カノクラ パウォンピ プン(47)も<AFP>通信に「プアタイ党は自身が話したことを守ってきた」としてタクシン兄と妹に対する支持の意思を明らかにした。

←タクシンとタイ政局10年

 「タクシンから事業と政治に関する全てのものを習った」と話すインラックは善心性(ばらまき)政策では一層強まっている。彼女が以前に出した政策を見れば、法人税引き下げ、農夫にクレジットカード発給、全国7万3000ヶの村に各々200万バーツ(6952万ウォン)支給、入学する80万人の学生たちにタブレットPC支給などだ。‘ばらまき’論議が加重されることもありうるが、同時に貧民層の期待も鰻登りに高まっている。
<ガーディアン>はタイ国民がタクシンを初めて直接民主主義で誕生した総理と感じていると分析した。それまでの総理は全政党間の合意で誕生したのに比べ、最初の民主主義指導者として選ばれたタクシンが結局はクーデターによって退いたという思いが広範囲に広がっているという話だ。 結局、今回の選挙がエリート中心の王政復古主義者らとタクシンを中心にした民主走者らの対決構図になったということだ。

選挙が終わった後もタクシンの今後の歩みは政局台風の核として残るものと見られる。インラックは常に 「すべての政治的経済的階層の和合」を主張しており、総理に選出されればタクシンの赦免を推進するだろうと暗示している。 イ・ヒョンソプ記者 sublee@hani.co.kr

■タイ総理 有力 インラックは誰?

‘兄 タクシン’を背に負って一ヶ月間でいきなりスターに‘代理人イメージ’限界

タイ初の女性総理になることが確実視されているインラック シナワトラ(43)は昨年まで、文字どおり成功した財閥2世に過ぎなかった。タクシン一家 9人兄弟姉妹中の末っ子である彼女はチェンマイ大学で政治学、米国、ケンタッキー州立大学で経営学を専攻し兄が設立したシン グループで色々な高位職を経て経営授業を受けた。タクシンが2006年にクーデターで退き、シン グループがシンガポールに売却され、系列会社の一つであった不動産開発企業‘SCエッセ’を引き受け相当な成功を収めた。結婚をしなかったが事実婚関係の企業家アヌソン アモンチャッとの間に息子1人をもつ。

彼女がタイ政治の前面に登場したのは5月17日プアタイ党が総理候補として彼女を指名して以来だ。そして1ヶ月の間に彼女はタイで最も影響力のある政治アイコンに浮上した。秀麗な容貌と親しみあふれる態度、兄のタクシンの後光がシナジー効果を産んだおかげだ。

タクシンの存在は彼女にとって両刃の剣だ。タクシンは総理候補指名を数日後に控えブルネイ言論とのインタビューで「一部の人々は彼女(インラック)が私の後継者だと言っているが、それは事実ではない。 彼女は私のクローンだ」と話した。プアタイ党の選挙スローガンが「タクシンは考え、プアタイは行動する」という点に照らしてみる時、彼女の存在はタクシンの‘代理人’以上でも以下でもないと見える。

インラックはタクシンが全てのことを決めるという世間の批判を否認している。彼女は最近オーストラリア<ABC>とのインタビューで「彼が私をクローンだと表現したのは、私が彼の政治理念を受け継いでいるため」し「だが、タクシンが私を完全に操縦するという話では全くない」と話した。

だが、彼女は選挙過程で兄の存在を積極的に活用している。彼女は先週の遊説で「私を紹介します。私はタクシンの末妹です」と切り出した後「兄は常に国民に会いたいと言っています。さあ、ドバイまで聞こえるように大きな声を上げてみましょう」と叫んだ。大部分がタクシン支持者である観衆は熱狂的な歓呼で応えた。

イ・ヒョンソプ記者 sublee@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/international/asiapacific/485647.html 訳J.S