原文入力:2009-09-07午後07:56:44
キム・トヒョン記者
←キム・トヒョン特派員
“おごらず国民の勝利に結び付けます。”選挙を通じた初めての歴史的な政権交替が現実に近づいた先月30日夜9時40分頃、民主党事務所開票センター。
テレビの前に姿を表わした鳩山由紀夫民主党代表は「今回の選挙は国民の勝利」と声を限りに叫んでも良いのに、歴史を新しく書いた国民の選択の重さのためなのか最後まで物静かさを失わなかった。彼の所感は選挙結果に現れた民意をきちんと実践し、民主党を長期政権に導くことこそ国民の勝利という話と聞こえた。
歴史が変わる瞬間に現場にいられるのは記者にとっては幸運だ。変化よりは安定と和合を重視した日本国民がいよいよ万年与党だった自民党を破った選択の重さは記者にも重く迫った。
しかし変化をありがたく思わない勢力は自民党とその支持者だけではないようだ。鳩山内閣に期待するという応答が70%を越える状況でも<産経新聞>等、一部保守言論の総選挙以後の報道態度は国民の選択を色あせさせる。鳩山代表が総選挙前の先月、月刊誌<ボイス>に発表した論文‘私の哲学’を巡る産経新聞と<読売新聞>の記事が代表的な事例だ。
産経新聞は1日、米国の市場原理主義をより強力に批判し東アジア共同体を中心に主張した鳩山代表の論文に対して、米国内日本専門家の口を借り「あまりにも反米的」と攻勢をかけ波紋を広げた。続けて読売新聞は3日‘鳩山論文に西欧で波紋’という題名の記事で「鳩山氏は国家の戦略的な姿勢を大切に考え日本の次期総理として信頼を受ける言動が要求される」と批判した。
産経新聞は以後にも‘3重苦にきしむ日・米’というタイトルなどで‘対等な日-米関係’を前面に掲げた民主党の外交政策に連日噛み付いた。市場から外国人投資資金が流出し円貨強勢現象が現れているのも民主党の外交姿勢が景気混乱を引き起こしているためというような記事も続いた。他の新聞も見解は多少違うが論文波紋に参加した。
これに対して木宮正史東京大教授は「米国の金融危機と世界同時不況で米国式経済秩序に問題があることはバラク・オバマ大統領も認めた懸案」として「産経新聞などの報道態度は米国の見解を借りて盧武鉉政権を批判した朝中東の報道態度を連想させる」と批判した。実際の米国言論はどうなのか。民主党政権の新しい対米路線に対して憂慮の見解があるのは事実だが均衡感覚は失っていない。保守的な<ウォールストリート ジャーナル>さえ、選挙結果に対して「(自民党の)政権担当能力が欠如したことにいらだちを持っていた米高位関係者は(民主党政権誕生で)やっと共通目的に向かって協力できる体制ができ期待している」と報道した。
月2万6000円の子供手当て支給,高速道路無料化,脱官僚政治など民主党マニフェスト(政権公約)の実践可否も選挙直後に主要日刊紙とテレビの集中砲火を受けた。もちろん16兆8000億円に達する財源準備問題と公約自体のばらまき的性格などは検証対象であることは明らかだ。権力監視も言論の主要任務であることに違いない。しかしまだスタートもしていない新しい政権に、あまりに苛酷な定規を突きつけているのではないかという気もする。正しく行われた政権交替経験がないからなのか、日本言論にはいわゆる‘ハネムーン’期間もないように見える。非主流言論界では「政権交替になっても変わらないのは日本の大型報道機関たち」として「言論も変わらなければならない」と皮肉る声も聞こえる。 キム・トヒョン特派員aip209@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/375445.html 訳J.S