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“中国政府 強大…民族葛藤 体制揺さぶる雷管になれず”

原文入力:2009-07-20午後10:20:49
[専門家とともに見る国際懸案]ウイグル事態と中国少数民族

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中国北西部,新疆ウイグル自治区ウルムチで去る5日に起きたウイグル族の示威と流血事態は敏感な中国少数民族問題を水面上に引き上げた。中国専門家のイ・ナムジュ聖公会大教授とともにウイグル事態の歴史的根元と展望,中国少数民族問題を覗いて見た。

独立運動勢力 海外で活動, 大規模デモ組織力量なく
企業・政府・軍隊など働き口は漢族独占…民族間格差深化

-ウイグル族問題はチベットに劣らない敏感な問題だが、この間外部にはあまり知られていなかった。ウイグル族問題の歴史的起源は?

“現在のウイグル族問題の根元は概して清に遡る。乾隆帝の時、ウイグル族が暮らす地域を征服した清は初めは現地人を前面に出して間接統治し比較的葛藤が少なかった。しかし、清は1880年代一時的にウイグル族の独立を達成したヤクプ ペク政権を倒した後、直接統治に切り替えその結果、現地ウイグル族と派遣された漢族役人たちの間の葛藤が深刻化された。近代化が始まった以後、また別の問題は中国政府が中央と周辺部との関係を持続的に‘先進対落伍’の概念で接近し現地人らの自尊に否定的影響を及ぼしたという点だ。中国政府は色々な民族が一つの中国を構成するという中華民族概念で問題を克服しようとしたが、少なくとも新疆とチベットでは成功的でなかった。”

-ソ連邦の解体には少数民族問題が大きな影響を及ぼした。中国でも少数民族問題が体制を揺さぶる雷管となりうるか?

“可能性は高くない。旧ソ連に比べ中国は民族間交流の歴史が深い。また、少数民族が独立しようとするには△弱い中央政府△少数民族内部の独立力量△外部支援勢力の存在など3要件が必要だが、中国は中央政府がますます強力になっているなどこういう要件に合わない。したがって、旧ソ連のように全面的解体手順を踏む可能性は大きくないが、少数民族問題が辺境で不安を増加させ、これが中国の政治社会的安定に否定的影響を与える可能性はある。”

-中国政府の主張のように今回の事態を海外分離主義者らが操縦したと見られるのか?

“1990年代のソ連解体以後、中国政府は少数民族独立運動勢力らを強力に統制してきており、独立勢力は主に海外で活動してきた。しかし、これらが中国内で散発的テロ行為を支援することはできるが大規模デモを組織する力量はないと見る。しかもウイグル族にはチベットのダライ・ラマのように海外によく知られており国内でも求心点になるほどの存在がいない。事件が起きるやいなや中国政府が確実な根拠もなく海外ウイグル勢力が操縦したと主張するのは却って中国政府に対する不信を高めるだけだ。今回のウイグル事態の本質は新疆内の社会・経済・文化的側面に求めなければならない。”

-ウイグル族の犠牲者がさらに多かったが中国政府がこれを隠した可能性は?

“中国政府が犠牲者規模と構成に対して操作した可能性は多くない。少なくとも7月5日示威に関連しては、ウイグル人の暴力的抵抗による人命被害が多かったと見る。この間、不満が累積した激昂した状態で爆発した可能性が高い。しかし漢族の犠牲者が多いのか、ウイグル族犠牲者が多いのかという議論は事態の本質を曇らせかねない。本質は‘なぜウイグル人がこういう暴力的抵抗に出たか’ということだ。

-ウイグル人にとって最も切迫した問題は何か?

“政治,経済的葛藤がすべて作用している。中国が市場経済体制を追求し始めて以後、経済的葛藤が浮上している。中国政府は1999年から西部大開発政策などを推進した結果、現在新疆の平均1人当り国内総生産(GDP)が中国の省の中で中上水準である14位という点など新疆に寄与した点などを強調する。しかし、ウイグル族たちはそのようには考えない。今回の事態以後に拘禁されたと知られたウイグル族経済学者イルハム トティは去る2006年、経済発展が民族関係にどんな影響を及ぼすのかについて文を書いたことがある。トティは都市で比較すれば新疆の1人当りGDPが14位というのは正しいが、農村地域を調べれば最下位圏の23位に留まっているとして、都市が新しく開発されれば主に漢族が利益を得るという点を指摘した。例をあげれば、企業,政府,軍隊の働き口が大部分漢族から補充される。資源開発も中央政府が独占的に開発し現地人らに富が分配されない。したがって現地人の立場で見ればむしろ格差が激しくなっている。”

-ウイグル族の大多数が独立を望んでいると見ることができるのか?

“チベットだけが独立要求が強いと見ることはできない。ウイグル族の大多数は独立よりは民族的権利と政治,社会的に幅広い自治権を望んでいると見なければならないだろう。

-ウイグル族とチベット人が望む自治の内容は何か?

チベットとウイグルは他の少数民族より文化や言語が漢族と大きく異なり、政治的にも中国の直接統治を受けた期間が長くない。従ってこれらはより広い自治、いわゆる‘高度自治’を要求している。一例をあげれば1944年ウイグル人がたてた国家である東トルキスタンは当時中国国民党政府との交渉で行政責任者の選挙権,民族軍隊の保有などを要求した。これに加えて最近では資源利用と関連した権利など経済的権利主張も大きくなっている。これは現代中国で保障されている少数民族自治とは距離がある。チベット問題に対してもダライ・ラマは民主的選挙を通じた行政府と立法府構成,チベットでの核利用禁止と非軍事化などを内容とする自治を要求しているが、中国政府はこれを受け入れない。漢族の移住に対する不満もこの地域で敏感な問題だ。”

-中国政府とウイグル族の葛藤がより一層増幅されるだろうか?

“過去には現地ウイグル族と派遣された漢族官吏の間の権力葛藤が中心であったし、人民間の葛藤は核心ではなかった。ところが最近ではウイグル族と漢族間の民族間葛藤が生じている。この点が重要で短期間内に解決される問題ではないと見る。”

-漢族知識人らまでが強硬一辺倒でいる理由は?

“近代以後、中国で少数民族問題は漢族と少数民族間の問題ばかりではなかった。中国は西欧列強が中国侵略に少数民族問題を利用しようとしていると考えた。実際に北側ではロシアが、東側では日本がそのような企図をした。今でも漢族は少数民族問題を西欧が中国を分裂させようとする陰謀と見る傾向が強い。しかも最近では少数民族に対する優待政策に対しても不満が積もっており、社会不安が少数民族に対する不満として表出される可能性が高かった。中国人らが普段は少数民族に対してよく知らないが、暴力や騒擾事態が起きる時だけ問題を認識することになるため少数民族に対してさらに敵対的になる側面もある。”

-少数民族が漢族に同化される可能性は?

“新疆を例にあげれば漢族は主に都市地域に移住している。都市以外の地域には移住が容易ではない。少なくとも中短期的にウイグルとチベット人たちが東北部地方少数民族のように漢族に同化される可能性は高くない。ただし現在のように都市地域に漢族が集中的に進出する方式は新疆とチベット地域内の経済・文化的矛盾を高め民族間葛藤を激化させる要因になりうる。”

-ウイグル族と文化・人種的に近いトルコや中央アジア諸国がウイグル族を支援して出る可能性は?

“中国は伝統的にイスラム諸国と関係が良い方だった。またウズベキスタンやカザフスタンのように新疆と近い中央アジア諸国もイスラム極端主義を警戒しており、ウイグル族の支援に出る可能性は低い。中国とロシア,中央アジア国家らが参加する上海協力機構(SC0)は分裂主義,極端主義,テロリズムに対して共同対応しようという合意をした経緯がある。”

チョ・キウォン記者garden@hani.co.kr
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イ・ナムジュ聖公会大中語中国学科教授(写真)は、北京大学で中国政治を研究し博士学位を受け<創作と批評>常任編集委員としても活動している。中国社会内部の変化と中国とアジアの市民社会などを研究してきて主要著書には<中国市民社会の形成と特徴> <二重課題論>(共著)等がある。

原文:https://www.hani.co.kr/arti/international/china/366881.html 訳J.S