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敵に手を差し出したオバマ ‘米国 外交実験’ 通じるか

原文入力:2009-04-21午前08:57:33
イラン・キューバなど ‘和談’ したが明確な収穫はなし
米国内 保守派 “性急で無責任” 反対の声

チョン・ウイギル記者,キム・スンベ記者

←バラク・オバマ米国大統領が19日カリブ海 トリニダードトバゴで米州機構(OAS)首脳会議参加国首脳たちと記念撮影をした後、手をあげて別れのあいさつをしている。 ポートオブスペイン/ロイター連合

‘スマート パワー’を前面に出した米国,オバマ行政府の和解と協力外交が分岐点に立っている。‘スマート外交’の主要攻略対象であるイラン,キューバ,北韓,ベネズエラなどいわゆる ‘敵性国家’ らとの複雑な素手の戦いが本格化している。スマート外交を巡る論議も頭をもたげている。

■スマート外交の方向舵,イランとキューバ

米国スマート外交の最優先対象はイランだ。バラク・オバマ米国大統領は去る1月の就任演説で「握ったげんこつを繰り出す用意があれば私たちは手を差し出す」としてイランに向かい和解・協力のキーワードを投じた以後、多様な和解の信号を送った。イラン核問題を議論するための7者会談の中でイランとの直接対話枠組みを用意し、最近は一定期間イランのウラニウム濃縮を容認するという方案も出した。マフムード・アフマディーネジャード イラン大統領は19日テヘランの検察総師に手紙を送り、スパイ疑惑で8年刑が宣告された米国系女性記者事件を公正に調査することを要請した。米国との和解ムードを破らないとする意志を表わしたものと消息筋らは伝えた。

米国がこのようにイランに精魂を込めるのは、隣接したアフガニスタンとパキスタンのためでもある。パキスタンの首都イスラマバードまでタリバン勢力に威嚇されているアフガン・パキスタン事態がさらに悪化する場合、西南アジアの広大な地域が皆イスラム主義勢力下に入ることになる。ペルシア湾地域と資源の新しい宝庫に浮上した中央アジアに対する戦略的接近権が全て遮断されることだ。

キューバと中南米は米国外交の名誉を回復させなければならないスマート外交のまた別の優先対象だ。1800年代中盤、ヨーロッパの中南米介入を許さないモンロー主義を明らかにして以後、事実上米国の排他的裏庭だった中南米がジョージ・ブッシュ行政府時期最悪の反米地帯に変わったためだ。米州機構(OSA)首脳会議に参加したオバマ大統領は閉幕式の19日、記者会見でキューバが公共医療体系と技術で中南米の色々な国家を相手に医療支援活動を広げることを他の中南米国家らが絶賛することに衝撃を受けたと話した。米国が頑として評価しなかった敵性国家の肯定的部分を認める破格的な発言だ。彼は「この国家たちと私たちの相互作用が麻薬取り締まりや軍事的なことだけならば、私たちの影響力を増進させる関係を発展させることができない」として、今後の米国対外政策の変化を予告した。先立って米国は去る13日、キューバ系米国人のキューバ旅行と送金制限廃止を骨格とする封鎖緩和措置を発表し対キューバ政策で数十年ぶりの最大変化を見せた。

■頭をもたげる限界論

オバマ行政府のスマート外交は ‘アメリカ中心主義’ 時代から ‘ポスト アメリカ’ 時代に移る時代的潮流による産物だ。米国は覇権の一つの軸だったドルの基軸通貨地位まで脅威を受けている。オバマは「米国一人では解決できない前例のない挑戦に直面している」と数回明らかにした。オバマ大統領が19日「敵に手を差し出すことが米国を強くする」として、握手をして謙虚な対話をすることが「米国の戦略的利害を危険にしはしない」と話したのもこういう脈絡だ。

オバマのスマート外交が相手国家らとのがっぷり四つの戦いで未だに具体的結実を出せていないと、静かにしていた米国内保守派らは反対の声を出し始めている。ジョン エンサイン共和党上院議員は19日<CNN>インタビューで「米国大統領が世界で最も反米的な指導者中の一人と笑って冗談を言う姿を見せたのは無責任だ」としてオバマがチャベスと握手するなどの和解の身振りを見せたことを批判した。民主党のクレア メケスキル上院議員も「もう私たちが適合した措置をしたのでボールはキューバに移った」として圧迫した。

米国と友好国らを巡る利害関係も複雑だ。東ヨーロッパ ミサイル防御(MD)中断をロシアは歓迎するだろうが、ポーランドとチェコの反発は明らかだ。<エコノミスト>はスマート外交が「きわめて重要な利害関係の前で政権の態度を変えられない」として「米国の原則と利害関係が衝突する複雑な状況にまもなく直面することになるだろう」と見通した。<ニューヨーク タイムズ>は「オバマが新しい時代に合うようにブッシュの外交政策を直して使うのは当然だ」としつつも「受け継いだ外交政策の根本枠組みは大部分そのまま維持したまま新しい言葉で包装しただけ」と評価した。 <AP>通信はオバマが(ソ連解体を呼び起こした)ミハイル・ゴルバチョフ前ソ連共産党書記長のようだとし「正しいことがいつも政治的に良いことではない」と批判した。

来る29日でスタート100日をむかえるオバマ政府としては、スマート外交の具体的結実が切実に求められる時点だ。

チョン・ウイギル選任記者,キム・スンベ記者marcos@hani.co.kr

▲スマート外交とは
いわゆる ‘スマート パワー’ に基づいたバラク・オバマ行政府の対外政策基調をいう。スマート パワーというのは軍事力と経済制裁など ‘ハード パワー'と、政治・外交・文化的接近など ‘ソフト パワー’ を接続させた概念だ。米国シンクタンクの国際戦略問題研究所(CSIS)の ‘スマート パワー委員会’ が創案した概念で、ジョセフ・ナイとリチャード・アーミテージなど超党派的要人が参加し2007年11月に報告書を出した。

原文: https://www.hani.co.kr/arti/international/america/350854.html 訳J.S